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2017年6月26日

World Haptics 2017 参加報告

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|◆ World Haptics 2017 参加報告
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松本 大知(東京大学)
IEEE World Haptics 2017は,6月6日から6月9日にかけてミュンヘンの
F?rstenfeldbruckで4日間開催された.ヨーロッパでの開催はイスタンブール,ピ
サに続き3度目である.会議はF?rstenfeldbruck駅から徒歩約15分の,750年の歴史
を持つ修道院の敷地内で行われた.修道院の施設の一部はモダンな会議施設に改修
されており趣のある会場であった.会場は緑豊かで穏やかな雰囲気に包まれていた
が,一方で会議中は,各セッションでの活発な意見交換や休憩時間での参加者同士
の交流で賑わっていた.
本会議では初日にWorkshopが行われ,残りの3日でOral,Poster,
Demonstrationsを含む各セッションが実施された.今回のFull paperの応募件数は
190件で,その内24件がOral,89件がPosterとして採択された.また
Demonstrationsの件数は76件であった.今回のBest Paper AwardにはCharles
Hudin氏の「Local friction modulation using non-radiating ultrasonic
vibrations」が選ばれた.Poster sessionとDemonstrationsは木造の建物で行われ
,1階でDemonstrations,2階でPoster sessionが実施された.Demonstrationsでは
Head-mounted-display(HMD)やLeap Motionを用いたものが多く見受けられ,
Virtual RealityにおけるHapticsの注目の高まりを改めて実感した.
筆者が最も印象に残ったのは茂山氏らの「Presenting pseudo-haptic feedback
in immersive VR environment by modifying avatar’s joint angle」のデモであ
る.このデモでは,HMD上のVR空間において,アバターの手で棒と斧をそれぞれ持
ち同時に振った時に斧を持った手の動きを遅らせるだけで,斧が棒よりも重たく感
じられるという体験をした.この時,アバターの動きと実空間での動きの違和感を
減らすために複数の関節の角度を調整しているというのも興味深かった.また,筆
者自身もHMD上の提示映像を改変することでVR空間における物体の硬さ知覚を制御
するという研究をPoster sessionで発表した.
3日目には会議場とは別会場でBanquetが行われ,約500名もの人が参加し互いに
交流を深め盛り上がりを見せていた.このようにIEEE World Haptics 2017は,
Hapticsに関する研究,技術の情報共有だけでなく,研究者同士の交流も活発に行
われた大変有意義な会議であった.
次回は2019年に日本のお台場で開催される予定である.翌年の2020年には東京オ
リンピックも開催されるため,会議が大いに盛り上がることを期待する.
http://www.worldhaptics2017.org/

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