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2017年5月25日

CHI 2017 参加報告

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|◆ CHI 2017 参加報告
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濵西夏生(東京大学)
 2017年5月6から11日までの6日間に,アメリカ・コロラド州デンバーにて,ACM
SIGCHI 2017(The ACM CHI Conference on Human Factors in Computing Systems)
が開催された.CHIはHuman Computer Interaction(HCI)分野においてトップカンファ
レンスである.4日間のCHI本会議と,合わせて開催される2日間のワークショップ
から構成されており,参加者は密度の濃い一週間を過ごすことができる.私自身は,
26個あったワークショップの内の1つであるWorkshop on Amplification and
Augmentation of Human Perceptionに参加し,現在取り組んでいる研究に関して発
表をおこなった.ワークショップの最初にはGoogle GlassのTechnical Leadを努め
たThad Starner氏によるKeynoteがあった.Google Glassを身に着けながら,
Augmentationの歴史を語る姿は非常にユニークで面白く,会場からも様々な質問が
投げかけられ,盛んな議論が行われていた. 3日目からの本会議の方では,最大
で18パラレルセッション(Paper/Course合わせて)の形式で,HCI分野の多岐にわた
るテーマ毎に研究発表が行われていた.今年は2400件を超える投稿があり600件が
採択されていたため,これぐらいのパラレルセッションになる模様である.なお投
稿件数は年々増加しており,この先の発表形態がどうなっていくのか気になるとこ
ろである.部屋の収容人数は180人規模のものから800人規模のものまで多種存在し
た.実際のところセッションの参加人数にはばらつきがかなりあったように見えた.
時間帯も影響しているのかもしれないが,空席が目立ち質疑が出てこないセッショ
ンもある一方で,立ち見者で埋まり,質問希望者が多く時間内に収まらないような
セッションもあった.すべてを聴講できたわけではないが,HapticやSensing,
input手法に関するセッションは参加者が多かったように感じた.その他には,MIT
Media Labのグループが発表するセッションも聴講者が多く,注目を集めていた.
 各セッションの間には40分のbreak timeがあり,またランチタイムは100分確保
されており,ディスカッションやStudentContest・デモ・ポスター発表・アート展
示・Recruitブースなどを見て回りやすいようになっていた.参加人数が多いとは
いえ,会期後半になると見たことある人が多くなるくらいの規模であり,この時間
の間にワークショップで知り合った学生と自然と遭遇して会話する場面があった.
発表を聞くだけにしては少し長い気がしていた休憩時間であるが,せっかくの国際
会議とはいえ参加者が一同に集まる場面は少なく,こうした研究者間のコネクショ
ンの時間を提供するために確保されているのだと身をもって体感し,学会へ参加す
ることの意味をあらためて理解することができた.テレプレゼンスロボットを用い
て参加できることはCHIの特徴の一つである.参加費は同額だったようであるが,
会場のあちこちでテレプレゼンスロボットを見かけた.ただ,広い会場内をスムー
ズに移動するには速度が足りず,セッション中に別のセッションへ移動するのは難
しそうであった.また,ロボットは椅子に座らないため,セッション中は後ろの人
の視界を遮っている場面があった.テレプレゼンスはCHIの研究トピックでもある
ため,改善されていくことを期待したい. 開催地であるデンバーは,人口約60万
人のコロラド州最大の都市であり, 1995年から22年ぶりの開催であった.当時の
人口は47万人ぐらいであったようである.次回の開催地はカナダ・ケベック州のモ
ントリオールである.こちらで開催されるのは2006年以来12年ぶりのようだ.期間
は2018年4月21日から26日となっており,今年よりすこし早い.Full Paperの締切
は9月19日であり,abstract提出は12日とのことである.
https://chi2017.acm.org/

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