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2021年1月27日

DCEXPO 2020

亀井 郁夫, 福嶋 政期(東京大学)

 DCEXPO 2020 ONLINE(デジタルコンテンツEXPO)は11月18日から11月20日までの
3日間に渡り、オンラインで開催された。昨年までは現地開催であったが、今年は
初のオンラインでの開催となった。来場者はウェブにアップされた技術紹介記事や
動画で作品を体験する。ステージイベントのコンファレンスはZoomのビデオウェビ
ナー上にて開催された。プログラムは、企業展示のContent & Technology
Showcase、学術発表のInnovative Technologiesに加え、今年からTechBiz
Creation & Matchmakingが新設された。これは企業が有する先端コンテンツ技術の
国際展開を推進するプログラムであり、海外展開を見据えたコンテンツ技術を発表
するカテゴリのようである。
 Content & Technology Showcaseには、VR・ARを用いたリモートワークやデジタ
ルトランスフォーメーションの技術展示が目立った。スマートフォンで簡易にARコ
ンテンツを作成できるツール「LIQUID Design」や、同様にスマートフォンで
VTuberの収録から配信までをカバーする「VTrack」など、特に自宅での制作や配信
を支援するツールの展示が多かった。モーションキャプチャーなどを使わずにスマ
ホで完結していることは導入障壁が低く、使い勝手も良さそうである。また、デジ
タルコンテンツが感染症対策・生産性向上の手段として注目されていることを印象
づけられた。
 コンファレンスでは、マサチューセッツ工科大学メディアラボ副所長の石井裕先
生の特別講演が行われた。Tangible Bits, Radical Atomsに関する研究をご紹介い
ただき、さらに目先の技術にとらわれずに100年後まで見据えたビジョンをもつこ
と、そしてそのビジョンを描く上でのArtの重要性を強調された。 
 筆者が興味深いと感じた展示として、Innovative Technologiesに選出された、
高速プロジェクタを用いてある速度で移動する人に対して選択的に映像を提示する
「Bilateral Motion Display」がある。残像効果を利用することで一台のプロジェ
クタのみで提示する情報を人によって変えられる本技術は、今後の発展の期待も高
いと感じた。また、読みやすいレイアウトに自動変換する「読書アシスト」も興味
深かった。これは、読書中の視線データを収集し、余分な目の動きを減らすように
文節単位でレイアウトを調整する技術である。1分間に読める文字数が通常
400~600字程度であるのに対し、本手法では最大で1,000文字程度に向上するとの
結果であった。

再び現地開催に戻ることを期待したい。
https://www.dcexpo.jp/

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