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2018年7月25日

Eurohaptics 2018 参加報告

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 ◆ Eurohaptics 2018
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大野 雅貴(慶應義塾大学)
 
 6月13日から6月16日にかけて, イタリアのピサにてEurohaptics 2018(以下EH2018,http:
//eurohaptics2018.org/ )が開催された. EH2018では, 触覚に関するアプリケーション/脳
科学/心理学/インタラクション技術/VR・ARなど, 多種多様な分野について研究発表がなされた.
開催8回目を迎える今回の国際会議は, 40件の口頭発表と55件のPosters, 60件のWIP, 48件のD
emos, 4件のKeynotes, 4件のWorkshops が行われた. また, 2日目にはPERCROLaboratory
や Centro Piaggio, University of Pisa の見学, 3日目にはBanquet などの企画が行わ
れた. 今回, その中から特に興味深かった研究を1件, 紹介する.
 Basil Duvernoyらの「“HaptiComm”, a Tactile Stimulation Device for Deaf bli
nd Communication 」は, 盲ろう者がコミュニケーション際に使用する指手話の触覚刺激を再現
したデバイスである. デバイスの表面上に配置されたピンが上下運動してパターンを描くことで,
手の平をタップされている感覚や,指でなぞられている感覚を再現し, 装着者に文字を伝えること
ができる. また, アプリケーション内で文字情報が触覚情報に変換されるため, 通訳者などを介
さないスムーズなコミュニケーションをとることができる. Demoで実際に体験する機会があったが
,確かに文字を”感じる”ことができた. 現在のデバイスは独立型ではないが, もし数年後にグロー
ブ型などの装着できる形になった場合, 日常的に視覚や聴覚に頼らない触覚的なコミュニケーショ
ンを行う未来が来るかもしれない.
 また, 私は今回のEH2018が初めての国際会議の参加だったため, 今回の経験を通じて学んだ事
や感じた印象について報告する. 今までアカデミックな分野に関わりのない自分にとって, 国際学
会は「著名な研究者が研究開発した最先端の技術について報告する敷居の高い会議」であると思っ
ていた. しかし, 実際に参加して感じた印象は全く異なるものであった. 会期中は, 学生と教授,
国や性別などあらゆる枠を超え,一人の研究者として参加者同士が自他の研究について話し, 情報
や意見を交換し, 新しい視点を開拓していた. また, 会期中はcoffee breakやBanquetなどの
食事を囲んでコミュニケーションをとる機会が多く用意されており,日本出身ではない同世代の友人
をつくる事ができたのは大きな収穫であった.
 参加前のイメージとは異なり, 皆が楽しみながら参加しており, フラットな印象を受け, また参
加したいと感じた会議の内容であった. 次回の参加までには, 他分野の研究者とコミュニケーショ
ンをはかれるように語学の勉学にも励みたい.
 次回のEurohaptics 2020はオランダのアムステルダムで国際会議が開かれる予定である.
https://eurohaptics2018.org/

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