SIGGRAPH2017 口頭発表 参加報告
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|◆ SIGGRAPH2017 口頭発表
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水口 直哉(東京大学)
SIGGRAPH2017は,7月30日から8月3日にかけて,カリフォルニア州ロサンゼルス
のコンベンションセンターで開催された.今回,439件の投稿があり,126件の論文
が採択された(採択率28%).TOGに採択された40編の論文と合わせて合計166件の
Technical Paperに,2件のArt Paperを加えた合計168件の論文が発表された.これ
らの論文は38のセッションに分けられ,2つないしは3つのパラレルトラックで発表
された.発表時間は質疑応答の3分を含めて22分間であった.ここでは,発表の中
で興味深かった2つのセッションを紹介する.
(1) Video
Time-Slice Video Synthesis by Robust Video Alignmentは,撮影された時間や
撮影経路が異なる動画を合成してタイムスライス動画を作る手法についての研究で
ある.2D画像を編集する際に,3D構造を再構成した上でマッチングを行うことで,
従来のSIFT特徴量を用いたマッチングより精度が向上する.Computational Video
Editing for Dialogue-Driven Scenesは,動画の編集の際に,顔認識や音声認識を
用いて行う手法に関する研究である.動画の1シーンの検出の際のため,カメラに
写っている人数や,話している人物を推定していることが面白いと感じた.Light-
Field Video Capture Using a Learning-Based Hybrid-Imaging Systemでは,ライ
トフィールドカメラでの撮影におけるfpsが小さいという問題を,通常のカメラと
併用して撮影すること解決する手法に関する研究である.ライトフィールドカメラ
の動画に関する研究は筆者にとって目新しく.興味深いものであった.
(2) Image and Light Field Manipulation
Interactive Relighting in Single Low-Dynamic-Range Imagesは,ただ1つの写
真を入力として,ライティングを変更する手法に関する研究である.カメラの
relightingを行うさいに,cameraの位置と3D構造を推定することが必要であるが,
それが物理的に正確であるかでなく,目で見て正確であることが重要である,とい
う部分が印象的であった.そうして生成された画像は,筆者の目で見た限り自然に
見え,興味深いと感じた.Deep High-Dynamic-Range Imaging of Dynamic Scenes
は,HDR画像合成を行う際に,露出を変えて撮影する時の被写体の変化を補正する
ための手法に関する研究である.被写体の変化を機械学習によって補正し,合成
前の画像の構図を合わせることを行なう.その後,そのように調整された画像と,
出力画像をCNNによって学習する.
来年のSIGGRAPH 2018は,カナダのバンクーバーで開催される予定である.
http://s2017.siggraph.org/