三次元画像コンファレンス2017 参加報告
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|◆ 三次元画像コンファレンス2017
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矢野 寛明(長岡技術科学大学)
2017年7月6日(木),7日(金)に千葉大学 西千葉キャンパスにて3次元画像コ
ンファレンスが開催された.今年で第25回目を迎える本コンファレンスには,3次
元画像の入力・表示・処理・通信,またその社会的な応用への研究発表・討論のた
め,国内から学会・研究会が一堂に会した.本コンファレンスでは招待講演3件,
一般参加の公演21件とポスター発表14件が行われた.
招待講演では,国立がん研究センター東病院の西澤祐吏先生が「内視鏡外科手術
における高性能画像技術の導入と有用性の評価」と題して,高解像度画像やステレ
オグラムなどの画像技術が医療分野で用いられ始めていることの説明や,3D内視
鏡システムを導入することの利点に関する検討を発表された.湘南工科大学の堀越
力先生は「これまでの3D,これからの3D」と題して,3次元画像の技術は特に視
聴する環境を考慮するべきであるとし,VR/AR/MRの分野が今後の3次元画像技
術の普及に重要であると述べられた.また,千葉大学の中口俊哉先生は「3次元ビ
ジョン画像処理と拡張現実技術の融合による医療支援」と題して,自身が試作した
内視鏡手術における投影型のARナビゲーションシステムについて解説し,外科手
術の支援について,3次元画像技術への期待が大きいことを説明された.
一般公演の部はホログラム・ディスプレイ・ヒューマンファクター・応用といっ
た6つのセッションにわたって行われた.映像の品質として最も理想的な3次元画
像表示技術であるホログラムに関しては,開催校である千葉大学から研究室で研究・
開発されてきたホログラフィ専用計算機を6台並列化したものについて発表が行わ
れた.結果としてCPUの500倍以上の計算速度が実現されたことが発表され,ホ
ログラムがリアルタイムな目的での応用へ近づいていることが感じられた.ヒュー
マンファクターについては,東京農工大学から乱視の視聴者に対して裸眼でボケの
ない映像を見せられるホログラフィックディスプレイの発表が行われた.ディスプ
レイのセッションでは多くのユニークなディスプレイが発表された.中でも千葉大
学からは指向性のあるボリュームディスプレイの設計手法・シミュレーションにつ
いて発表が行われ,活発な議論が行われた.
ポスター発表の場では発表に加えて,LeapMotionとプロジェクションマッピン
グを用いたインタラクティブ絵本や,フルカラーで解像度の高いホログラムなどが
展示され,賑わいを見せた.
筆者も本コンファレンスに参加し,ディスプレイのセッションで発表を行った.
この際には沢山の質問や,建設的な意見を賜った.加えて,自分の分野とは離れた
多くの手法や3次元画像をキーワードに集まった様々な分野における応用について
聴講でき,大変有意義な体験となった.
公式サイト:http://www.3d-conf.org/