Ubicomp2017 参加報告
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|◆ Ubicomp2017
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尾原 和也(大阪大学)
今年のUbicompは9月11日から15日にかけてハワイ,マウイ島のGrand Waileaホテ
ルにて開催された.Ubicompは2011年以降ISWC(International Symposium on Wear-
able Computers)と併催されている.会期のうち前半2日間はワークショップが開か
れ,後半3日間に主会議が行われた.登録者数は561名に上り,アメリカからの登録
者が約半数を占めた.日本からの登録者数はアメリカに次いで2番目に多く,78名
であった.
主会議初日の朝に基調講演が行われ,その後3日間でISWCと合わせて143件の論文
発表,54件のポスター発表,26件のデモ発表等が行われた.Ubicompでは今回から
論文投稿の形式が変わり,IMWUT(Interactive, Mobile, Wearable and Ubiquitous
Technologies)に採択された論文を招待するという形式になった.それに伴い論文
投稿も2月,5月,8月,11月の年4回行えるようになった.今回のUbicompでは昨年
の11月,今年の2月,5月に投稿され採択された論文が招待された.この期間中に
576本の論文が投稿され,21.2%にあたる122本が採択された.
基調講演では,現在Misapplied Sciences社のCEOであるPaul Dietz氏が開発中の
Parallel Reality Displayについて講演された.Parallel Reality Displayは見る
方向によって映し出される映像が異なるディスプレイであり,個人認識等の技術と
組み合わせることによって同時に複数のパーソナライズされた情報を映すことがで
きる.講演ではプロジェクタを使った簡易的なParallel Realityのデモと高解像度
のParallel Reality Displayの映像を見せていただいた.
私は主会議初日の午後のセッションでWi-Fi電波を用いた屋内日常物の状態変化
を検知する研究について発表を行った.質疑には苦労したが,北京大学の同じ分野
の研究をしている方に興味を持ってもらえ,発表後にも交流を持つことができた.
興味深かった研究としてHsuらのZero-Effort In-Home Sleep and Insomnia
Monitoring using Radio Signalsを挙げる.この研究では部屋に電波の送受信モ
ジュールを設置するだけで,睡眠時間やベッドに入ってから眠るまでの時間等の睡
眠に関する様々な時間パラメータを高い精度で推定している.さらに複数の人がい
る環境においても同程度の精度の推定を実現している.
次回のUbicomp2018はシンガポールで開催される予定である.
http://ubicomp.org/ubicomp2017/