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2017年6月26日

VRクリエイティブアワード 2017 参加報告

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|◆ VRクリエイティブアワード 2017 参加報告
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藤井 直敬(ハコスコ)
6/1にVR Creative Award 2017が御茶ノ水のソラシティカンファレンスホールで
行われた.このアワードはVRコンソーシアム(VRC)が年一回主催するアワードで
,本年で第3回となる.
VRCはこれまで何度か訪れては失速した”VRブーム”の反省をふまえ,VR技術の
社会実装に必要な4つの要素(デバイス,コンテンツ,メディア,プラットフォー
ム)に関わる事業者やクリエイターを繋ぎ,VR技術を世の中に広めることを目的と
して2015年に設立された.
アワードは2014年より始まり,応募作品のクオリティは年々向上しつづけている
.本年度は127件の応募があった.昨年度のアワードで,大きな予算をかけられる
商業作品と個人の作品を同じように扱うことは不公平ではないかという指摘があり
,本年度より商業部門と個人部門の2つのカテゴリーを設けた.127件のうち,62件
が商業部門,65件が個人部門であった.
審査は一次審査の後,10名の審査員による2段階の審査が行われ,最終的に15作
品がファイナリストとして選出された. http://vrc.or.jp/award2017/#finalist
ファイナリストの15作品は,商業部門から7作品,個人部門から8作品が選ばれ
た.本年度の全体の印象として個人部門の健闘が目立った.昨年度は商業部門作品
のクオリティが大きく上がったため個人部門の作品は正直見劣りすることがあった
.しかし本年度の個人部門作品は商業部門作品と同列で比較しても遜色ないばかり
か勝っているものも多かった.
その中から選ばれた作品は以下の通りである.
商業部門:
最優秀賞「VR Real Data Baseball」株式会社バスキュール
優秀賞 「男女の本音VR」(株)BIRDMAN + (株)二番工房 + (株)オムニバス・ジャパン
個人部門:
最優秀賞「Mikulus」近藤義仁氏
優秀賞 「映画ツクール – Make it Film!」室橋雅人氏
審査員特別賞: 「不可視彫像/Invisible Sculpture」坪倉輝明氏
朝日新聞社賞: 「日本列島VR」脇塚啓氏
VR Theater賞: 「博士と万有引力のりんご」内藤薫氏
一般投票優秀賞:「VR Real Data Baseball」株式会社バスキュール
「VR Real Data Baseball」は,実際のプロ野球選手の投球データを元にその凄
さを誰もが楽しめる形に落とし込んだ点が高く評価された.プロの世界の体験はVR
でなければ出来ない.VRを用いる必然性を示した素晴らしい作品である.
「男女の本音VR」はコンドームの利用促進目的に作られた作品.男女の視点を
180°に分割し,体験者の行動に合わせて視点を切り替えることで両者の視点のズ
レを体験できる.実写VRの新しい可能性を拓いたことが評価された.
「Mikulus」はVR空間にコンパニオンを配置し,その存在を感じつつ作業を行う
VROSのケーススタディ.ファイルを直接フォルダから手を使って引き出したり,移
動したりのVR空間ならではの作業が自然に行える.
「映画ツクール – Make it Film!」はVR空間内でのアクターのアクションを撮影
するツールの提案.カメラ操作は非常に自然で,映像制作の学習にも使える奥深さ
を持つ上に,なにより撮影そのものが非常に楽しい.
「不可視彫像/Invisible Sculpture」は実際には存在しないオブジェクトの影
を壁面に表示することでオブジェクトが存在しているとしか思えない空間操作を行
う不思議な作品.HMD無しに誰でも楽しめることが評価された.
「日本列島VR」は,独特の浮遊感,洗練されたUIにより,日本全国を自由に移動
して楽しむことができるコンテンツ.コンテンツのベースの部分の楽しさに加え,
様々な体験内容の拡張が興味深く期待される.
「博士と万有引力のりんご」は,ユニークな画風と,素晴らしい表現に目を奪わ
れる.小規模のグループでここまで作り込んだ作品は稀で,VRならではの体験を様
々なプラットフォームで体験できる.
これまでのVRコンテンツは,なぜ高コストなVRを使わなければならないのかを示
すことが出来ないものが多く事業やプロジェクトの継続性を示せなかった.つまり
単発で終わることがほとんどであった.しかし,本年度の応募作品を見ると,VRで
しか体験できない事を上手にパッケージ化し,さらに今後の発展も期待できるレベ
ルに到達したものが多かった.今回の受賞作品は,まさにそれを完全に満たした作
品が選ばれている.ようやく開発者がVRを普通のツールとして使いこなすことが出
来るようになり,単なるパンダ技術ではなく,地に足の着いたスケーラブルな技術
として利用され始めていることを実感できた.
3年前にはまだまだ未熟な技術であったVR関連技術が,実験段階から一歩ずつ実
用段階へ進んでいる.これからの数年間はこの流れがますます加速し,我々の日常
に知らず知らずのうちに溶け込んで来るだろう.
http://vrc.or.jp/award2017/

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