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2016年11月21日

ISWC / UbiComp 2016 参加報告

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|◆ ISWC / UbiComp 2016 参加報告
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前田将希(大阪大学)
 今年のISWC (The International Symposium on Wearable Computers) は,
Ubicomp (The ACM International Joint Conference on Pervasive and
Ubiquitous Computing) と併催し,9月12日から16日までドイツのハイデルベルク
で行われた.ハイデルベルクは,旧市街,ハイデルベルク城,ドイツ最古の大学で
あるハイデルベルク大学などで有名な歴史的な街である.バンケットでは会場を出
て高台のハイデルベルク城まで登り,城内を見学した後,内部のホールでパーティ
を行った.
 今回で20回目を迎えたISWCは,long papersが95件,short papersが29件,
postersが8件,合計で132件の論文が投稿され,その内18件がlong papers,8件が
short papers,10件がposters として採択された.3日間で9つのセッションが行わ
れ,他にもポスター参加者が内容を1分で発表していく“Minute Madness for
Briefs”や,“Gadget Show”などのイベントが連日行われていた.
 また,閉会式ではベストペーパーが発表された.ベストペーパーには,Eric
Whitmire (University of Washington) らによる “EyeContact: Scleral Coil
Eye Tracking for Virtual Reality”が選ばれた.これはアイトラッキング技術
に関する研究である.現在のVRヘッドセットで主流となっている光学的なトラッキ
ングでは,0.5度から1度の精度が実現されているのに対し,この研究ではコイルに
よる磁界観測を用いることで平均0.094度まで精度を高めることに成功した.この
システムでは,ヘッドセットに磁界発生用のコイルを5つ取り付け,ユーザは眼球
にコンタクトレンズのようにしたコイルを取り付ける.眼球が動けばそれに伴って
眼球上のコイルに入る磁界も変わるため,ユーザの眼球の向きを測定できる仕組み
である.
 筆者はExtended Realitiesのセッションにて口頭発表を行った.発表自体はなん
とか練習通りに出来たが,質疑ではネイティブの英語に対応しきれなかった.結局
ゆっくりと分かりやすく手加減した質問をして頂いてしまったのが心残りである.
今後このような機会があれば,より深い議論ができるよう英語能力を高めておきた
いと感じた.
 全体としては,高いレベルの研究に触れることができる非常に有意義な経験であ
ったように思う.専門分野の近い研究者,あるいはUbicompに来ていた少し分野の
異なる研究者と意見交換し,様々な話を聞けたのは大きな収穫であった.
 次回のISWC2017は,ハワイで開催される予定である.
http://ubicomp.org/ubicomp2016/

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