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2015年8月25日

SIGGRAPH 2015(Technical Papers) 参加報告

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|◆ SIGGRAPH 2015(Technical Papers) 参加報告
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 世界最大のCGとインタラクティブ技術の国際会議・祭典であり,42回目の開催と
なるSIGGRAPH 2015が,米国ロサンゼルスのコンベンションセンターで8月9日から
8月13日まで開催された.2010年以降,2011年と昨年のバンクーバーを除き,
SIGGRAPHはロサンゼルス近郊での開催が続いている.
 今年のテーマは”Xroads of Discovery”であり,例年,研究者,開発者,アーテ
ィストなど様々な人が交差するSIGGRAPHらしいテーマと言えるかもしれない.筆者
は,Technical Papers,Computer Animation Festival,Emerging Technologiesに
参加したが,本稿ではTechnical Papersについて報告する.今年は,昨年の505件
より少ない462件の投稿があり,118件の論文が採択された(採択率25%).ACM
Transactions on Graphics (TOG)から36件の論文が加わり,昨年の173件より少な
い154件が論文セッションで発表された.これに伴い,一つの発表あたりの発表時
間が,昨年の15分から18分に戻った.今回は,TOGも含めると日本関係者による共
著論文が13件あり,海外在住研究者の活躍が目立った.
 今年は,Oculus RiftやHoloLensなどのディスプレイ装置の発展に伴い,ヘッド
マウントディスプレイを被った状態で顔の3Dキャプチャをする論文や,100台以上
のカメラを使って全身の自由視点ビデオを生成する論文など,VR向けコンテンツを
製作する論文に注目が集まった.また,例年のLight Field関連の発表に加え,VR
やディスプレイ関係の発表セッションが設けられた.ファブリケーションやプリン
ティング関連のセッションは定着し,3Dスキャンと流体シミュレーションを用いて
水圧転写の際の正確な位置合わせをする論文などが話題になった.今年の特徴とし
て,近年関心の高まりを見せるニューラルネットワークを用いてシーンのリライテ
ィングをする論文や,家具などの製品同士の類似性を学習し画像検索に役立てる論
文などが散見された.学会の初日にメインのプログラムとして開かれ,全ての論文
が30秒のピッチを行うFast Forwardのセッションでは,体全体の「揺れ」に注目し
て,4Dキャプチャしたり,力学的特性を編集したり,筋力トレーニングしたり(早
稲田大学)する研究が印象に残った.レンダリング関連としては,近年の関心が高
まる物理ベースレンダリングに関連して,モンテカルロ積分のサンプリングやデノ
イズ,体積があるような場合のマイクロファセットの効率の良いレンダリングなど
が散見された.また,今年は,顔の目の動きなどの細かいディテールをキャプチャ
する論文がいくつか散見され,筆者は顔の10µmの皺を動的に生成する論文を発表
した.
 来年は,“Render the Possibilities”のテーマで,アナハイムで開催される.今
年同様,日本勢の論文での活躍に期待したい.
SIGGRAPH 2015: http://s2015.siggraph.org/

Category: 学会参加報告

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