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2014年5月27日

Laval Virtual 2014 参加報告

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|◆ Laval Virtual 2014
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小寺 達也(慶應義塾大学)

 2014年4月9日から13日の5日間,フランスの首都であるParisから南西に300km離
れたLavalという都市にて,”Laval Virtual 2014″が開催された.今年で16年目を
迎えたLaval Virtualとは,バーチャルリアリティ(VR),拡張現実感(AR)の先端技
術や,インタラクティブメディア作品が展示されるヨーロッパで最大のイベントで
ある.そして,VR分野において最も新機軸となる作品のデモンストレーション展示
の”ReVolution”,国際会議の”Virtual Reality International Conference
(VRIC)”も行われた.企業と現地メディア向けに公開された前半の3日間と一般に公
開された後半2日間の何れも多数の来場者がありフランスでのLaval Virtualへの関
心の高さが伺われた.
 今回,私たちは日本バーチャルリアリティ学会が主催する”国際学生対抗バーチ
ャルリアリティコンテスト(IVRC)”とLaval Virtualの提携プログラムにより日本で
開催されたIVRC2013のLaval Virtual賞として招待され,慶應義塾大学理工学部 杉
本研究室・斎藤研究室の学生チームで製作した”Virtual Rope Slider”の展示を行
った. この作品は,公園のアスレチックなどにあるロープにつかまって進んでい
く遊具であるロープスライダーという遊びをバーチャルに体験できる作品である.
ヘッドマウントディスプレイを用いて3次元再構築やモデリングによって制作した
バーチャル空間をユーザに提示し,進んでいく疾走感を提示するためにサーキュレ
ータやウィンチを用いて,風覚や前庭覚を刺激することによって,あたかも多様な
環境でロープスライダーしているような感覚を体験者に与えることができる.本作
品は海外での展示が初めてであったが,日本での展示と同様に,フランスの老若男
女,幅広い人がこの作品を楽しんでくれたことが印象的であった.
 Laval Virtualの全体では,”Laval Virtual Awards”という賞が設けられており,
国際的に活躍している専門家で構成された審査員により,その作品や研究の新規性
などを審査され,優秀な作品には表彰が行われる.今年も日本からの作品が高く評
価されており,東京大学 落合陽一氏らの”Pixie Dust”が,”Interface &
Multipurpose equipment”賞と,”Grand Prix du Jury (審査員特別グランプリ)”を
ダブル受賞した.この作品は,0.6mm~2.0mmの発泡スチロール製の球を,超音波に
よって魔法のように浮かせたり,動かしたりすることができる作品である.この作
品は実際にLaval Virtualにおいて展示を行い,多くの来場者を楽しませていた.
筑波大学の”Gesture CAD”にも”Engineering, Construction & Training”賞が授与
された.
 また,IVRCからも審査員が派遣されており,Laval Virtualで行われるIVRCと同
様の学生コンテスト”Virtual Fantasy”の優秀作品にIVRC賞を授与し,日本で開催
されるIVRC決勝大会に招待するプログラムが行われている.今年のIVRC 賞は
“Stuart”に与えられた.”Stuart”は,ロボット技術とARの技術を組み合わせたユニ
ークな作品である.マーカーがとりつけられた複数の車型のロボットの位置を上か
ら吊るされたカメラを用いて計測し,それぞれが衝突しないようにしている.また,
タブレット端末を通してこの車型のロボットを撮影することによって,CGを重畳し
たり,このロボットの向かう方向を操作できたりすることができる.2014年10月に
開催されるIVRC決勝大会での活躍が楽しみである.
 今回のLaval VirtualにIVRCからの招待作品として出展できたことは,長年続い
ている提携関係の恩恵によるものであり,Laval VirtualとIVRCの関係者の皆様に
感謝の意を表したい.VR研究の発展に伴う更なるLaval Virtual盛り上がりが期待
される.
公式サイトURL: http://www.laval-virtual.org/en/

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