HOME » 学会参加報告 » 3DSA2013 参加報告
2013年7月25日

3DSA2013 参加報告

+———————————————————————-+
|◆ 3DSA2013 参加報告
+———————————————————————-+

掛谷英紀(筑波大学)

3DSA(Three Dimensional Systems and Applications )は日本,台湾,韓国の3ヶ
国持ち回りで開催されている3次元映像・音響とその応用に関する国際会議である.
台湾で最初の会議が行われて以来毎年開催されており,5回目となる今年は,6月
26日(水)~28日(金)の3日間,大阪駅前に今春オープンしたばかりのグランフ
ロント大阪ナレッジキャピタルで開催された.ここは,今年の本学会年次大会の会
場にもなっている.
3DSA元年の2009年は,3D映画が多く投入され始めた時期で,3D関係の学会はどれ
も過去に例のない盛り上がりを見せていた.しかし,昨年あたりから,3D関係の学
会の参加者数は大きく落ち込んでいる.そのため,3DSAの会場も寂しい状況ではな
いかと予想していたのであるが,実際には3Dブームの最中であった3年前の東京開催
以上の盛況ぶりであった.この背景には,3DSAの参加者がアカデミアを中心として
おり,参加者数が産業界の動向に左右されにくいことがあると考えられる.
研究発表の中身であるが,概ねの内訳は3Dディスプレイ,ホログラフィ,3D撮影
・処理がそれぞれ全体の約1/4ずつを占め,残りの1/4がヒューマンファクタ,コン
テンツ,3D音響などが占めるという状況であった.従来に全くない斬新な研究の発
表は残念ながらなく,多くは従来研究の改良に類するものであった.このことは,
研究分野自体が成熟してきていることの証でもあるが,にもかかわらず実用に関す
る発表が少ないことは,分野自体の停滞を表しているとも言えるだろう.3D技術が
どの分野においてどのような社会貢献が可能なのかを真剣に考え直すべき時期にき
ているのかもしれない.
研究発表とは別に,最終日の午後に行われたラボツアーは,ナレッジキャピタル
のアクティブラボとTHE世界一展を順に見学するツアーで,予想以上に楽しめるも
のであった.アクティブラボは,巧みなイギリス英語を話す日本人女性のガイドが
印象的であった(帰り際にご本人にお聞きしたところ,予想通りイギリスに留学し
ていたとのことであった).THE世界一展は,新幹線開業当時の乗務員の制服など
のお宝アイテムから最新のテクノロジーまで幅広い展示がされており,海外からの
参加者も大いに楽しんでいる様子であった.世界一展は9月1日までの会期で,年次
大会のついでに立ち寄ることはできないのが残念である.ただ,グランフロント大
阪には他にも見所は多くあるので,年次大会に参加を予定している人は下調べをし
ておくとよいかもしれない.

untitled

Category: 学会参加報告

この記事へコメントすることはできません