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2012年3月26日

3DUI2012 参加報告

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|◆ 3DUI2012 参加報告
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浜口英典(大阪大学)

 今年のIEEE 3DUI (IEEE Symposium on 3D User Interfaces) も例年同様,
IEEE VR (2012年3月4日~8日)と併催される形で,4日・5日の2日間で開催され
た.会場は米国カリフォルニア州のオレンジカウンティにあるWestin South
Coast Plazaで,米国最大級のショッピングモールに併設されたホテルであっ
た.シンポジウムでは1件のKeynote,22件のPapers and Technotes,ポスター
発表及び3DUI ContestがIEEE VRのWorkshopやTutorial講演と並行して行われ
た.
 初日の基調講演(Keynote)では,Disney ResearchのIvan Poupyrev氏が"
Programming reality: From 3D UI to Physical Computing"と題して,UI設計
に関する近年の研究動向について講演を行った.様々な実例を交えながらの講
演で分かりやすく,興味深い内容であった.一般講演(Papers and Technotes)
では,2日間でAR,Navigation,Gestures,Touchなど計6セッションの講演が
行われた.ARのセッションでは3件の講演があり,ARを使った飛び出す絵本な
どの講演が行われた.また,Touchのセッションでは4件の講演があり,バーチ
ャル環境でのタッピングタスクのパフォーマンス評価やタイルドディスプレイ
用のポインティングデバイスに関する講演などが行われた.ポスターでは昨年
よりも多い20件の発表があり,コアタイムには多くの人が議論を交わしていた.
 2日目には今年で3回目となる3DUI Contestが開催された.今回は歩行経路や
作業などの指示を出すナビゲーションシステムが課題となっており,6件のエ
ントリーがあった.最初に各チームのビデオ上映が行われたが,どのチームも
内容もさることながら,演出に大きく力を入れていた.ビデオ上映中,会場が
盛り上がる場面が何度もあり,このようなコンテストでのインパクトの重要性
を実感することができた.また,今回はビデオだけでなく,実際に開発したシ
ステムを使ったデモンストレーションも行われた.審査では審査員による投票
に加えて,会場にいる参加者による投票も行われた.優勝チームには,建物内
でのレスキュー作業を題材にしたナビゲーションシステムを開発したFelipe
Bacimらの"Collaborative Navigation in Virtual Search and Rescue"が選ば
れた.審査員票,会場票ともに1位を獲得しての優勝であった.
 筆者は並行して行われたWorkshop(AMBIT 2012)での発表があったため,全て
の講演を聴講することはできなかったが,聴講した講演では質問が多く,発表
が終わった後でも発表者の周りで活発な議論が行われており,参加者の意欲の
高さに大きな刺激を受けた.来年の3DUIは米国フロリダ州で,例年同様IEEE
VRと併催される予定である.
http://conferences.computer.org/3dui/3dui2012/
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