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2022年12月26日

UIST 2022

前田 竜矢(青山学院大学)
 2022年10月29日から11月2日にかけて,アメリカのオレゴン州ベンドにてUser Interface Software and Technology Symposium 2022 (UIST)が開催された.口頭発表は2トラック並行で行われ,その他に,基調講演,ポスターセッション,デモセッションなどが行われた.参加者総数は511人で,そのうち学生は282人であった.参加国数は25か国であり,一番参加者数が多かったのはアメリカで,二番目に多かったのは日本であった.
 本会議では,98件のテクニカルペーパー(採択率26.3%),54件のポスター,62件のデモンストレーションが採択され,このほかにも10チームによるStudent Innovation Contestが開催された.テクニカルペーパーの中からBest paperが3件,Honorable mentionが4件選ばれた.
 筆者はポスターセッションにおいて発表を行った.ポスターセッションは2つのグループに分かれており,筆者のグループではタンジブルやハプティクス系の発表が多く並んでいた.ポスター発表ではあるが,多くの発表者がデモもできるようにデバイスを持参しており,参加者はポスターの説明を聞いた後にデモによってデバイスを体験していた.筆者もデバイスを多くの参加者に実際に体験してもらい,有益なアドバイスをもらうことができた.
 今年は例年よりもかなり多くのデモンストレーションが採択されており,デモ発表は非常に賑わっていた.筆者も色々なデバイスを体験させてもらい,多くの刺激を得ることができた.また,デモ発表と同時に開催されたStudent Innovation Contestは,運営側から支給された超音波ユニットを使用して実装したデバイスを各チームが発表するものであった.どのチームも,超音波ユニットの活用方法が違っており,柔軟な発想に驚いた.
 基調講演は2件あり,1件目はアカデミー賞にもノミネートされた2016年公開の映画「メッセージ」の原作である「あなたの人生の物語」の作者であるSF作家のTed Chiang氏による講演であった.2件目はYahoo!の元CEOであり,Googleの元副社長でもあるMarissa Mayer氏による講演であった.この講演は,事前に参加者から募集していた質問に答えていくという座談会方式で行われていた.また,Vison Trackでは,スタンフォード大学の名誉教授である心理学者のBarbara Tversky氏,Microsoft社
のChief ScientistであるJaime Teevan氏がそれぞれトークを行った.
 筆者は,本会議に初参加であったが,口頭発表やポスター発表,デモ発表もどれも興味深い内容であり,とても参考になった.また,ポスター発表において参加者からの適切なアドバイスも得ることができたので,今後の研究の糧にしていきたい
と思う.
 次回のUIST2023は,アメリカ,サンフランシスコ・ベイエリアにて10月29日から11月1日にかけて開催予定である.
公式サイト:https://uist.acm.org/uist2022/

Category: 学会参加報告