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2019年2月2日

VRST 2018 参加報告

新田 暢(東京大学)

 VRST 2018は11月28日から12月1日にかけて,東京の早稲田大学にて行われた.開催場所が日本であることもあって,受付や展示物見学等を日本語で済ませることが出来たが,海外で行われる学会についてはそこまでうまくは行かないだろうと感じた.主な企画として,keynote講演が3件,論文発表42件(うちfull paperが32件,short paperが10件),ポスター発表が116件,企業発表が5件,企業デモ展示が14件,デモ展示が21件実施された.口頭発表の会場はかなり広く,かなり驚かされた.また,デモ展示はかなり大掛かりなものが多く,あまりVR体験などをしたことがない筆者にとってはかなり新鮮なものが多かった.ポスター発表に関しては,ポスター発表のみのものが74件で,論文発表をした42件すべてもポスター発表をするという形式だった.今回は論文発表の件数が多く,質問の時間が十分にとれなかったため,このような珍しい形式になったと思われる.
 投稿数は全体で190件あり,そのうちfull paperで32件,short paperで10件が採択された.全体の採択率は22 %だそうである.その中から興味深かった研究を2つ紹介する.
 Dylan Brodie FafardらによるDesign and Implementation of a Multi-person Fish-Tank Virtual Reality Displayにおいては,複数プロジェクタを用いて表面形状が球状のディスプレイに関する研究を行っていた.従来のプロジェクタではこのようなディスプレイを一人が用いることのみが考えられてきたが,本研究では複数人で用いることが出来るように拡張されている.複数人が別々の映像を,ほかの人と見ている映像が混ざらないようにすることが問題となるが,本研究では使用者がプロジェクタと同期されたシャッターグラスをかけ,同期したプロジェクタが映像を投影しているときだけシャッターを開けるようにすることによって,この問題を解決している.
 また,ToyoharaらによるBalloonygen: Extended Tabletop Display Embedded with Balloon-like Deformable Spherical Screenでは,風船に対してその風船の大きさや形状に対応して提示映像が変化するディスプレイに関する研究を行っていた.風船のような柔らかい物体を用いることによって,風船の一部を押したときにその部分の提示映像を変えるような仕組みを考えることができ,発表内ではスイカの表面絵が提示された風船を押すと,スイカの中身を覗くことが出来るようなアプリケーションが紹介されていた.
 来年のVRSTはオーストラリアにシドニーにて開催される予定である.

https://vrst.acm.org/vrst2018/

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