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2017年9月26日

第17回VR医学会学術大会 参加報告

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|◆ 第17回VR医学会学術大会
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奥田 啓嗣(大阪電気通信大学)
 第17回日本VR医学会学術大会は2017年8月26日(土)に芝浦工業大学芝浦キャンパ
スにて開催された.今回は,一般公演として25件中9件の口頭発表と16件のポス
ター発表が行われた.また,特別講演では,アンビエントメディア代表の町田聡氏
による「いまさら聞けないVR,だれも言わないXRの世界へ」と,電気通信大学大学
院情報システム学研究科情報メディアシステム学専攻の広田光一教授による「VR環
境における変形物体の表現と操作」の2件が行われた.企業展示では株式会社Med
Vision様,株式会社スリーディー様,KICCプロジェクト様の3社が展示されていた.
 一般講演では,様々な医療分野におけるVR技術を利用した発表が行われ,その中
でも光学センサを利用した手術ナビゲーションシステムについての報告では,腹腔
鏡下手術での鉗子の位置推定やカメラ位置推定,肘関節鏡手術でのカメラの回転追
従手法についての検証結果や課題について報告された.また,呼吸音を再生するた
めに呼吸リズム追従再生手法や,CTによって生成したDICOMデータより頚椎の
ビューアモデルを作成し,それをもとにサーフェスモデルやソリッドモデルを作成
する手法など,実に興味深い研究が多く発表されていた.筆者が参加したポスター
発表でも,多くの方の質疑を受け,実際の手術での課題やアドバイスを頂くことが
でき,今後の研究を進めるうえで大いに参考になった.
 特別講演では,町田氏はVR,AR,MRの違いについて事例を交えて詳しく講演され,
XRの位置づけなど非常に勉強になる内容であった.また,広田先生は変形物質の表
現手法や操作手法などを,これまでの研究内容を交えながら紹介され非常に興味深
い内容であった.さらに企業展示では,触感デバイスを使った腹腔鏡下手術シミュ
レータの展示など医療分野における様々な支援システムやソフトウェアが展示され
ていた.
 今回の大会では,医療分野におけるVR技術の利用範囲の幅の広さが改めて感じら
れた.口頭発表やポスター発表の質疑応答に多くの時間が使われ,特別講演では,
勉強になる話をたくさん聞くことができたため非常に有意義な大会となった.全体
を通して今後の医療分野におけるVR技術の発展や,興味深い研究が増えていくこと
が期待できる大会であったと思われる.
http://www.web.se.shibaura-it.ac.jp/y-adachi/jsmvr17/

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