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2014年6月25日

3DSA2014 参加報告

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|◆ 3DSA2014
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妹尾 孝憲(情報通信研究機構)

 3DSA (Three Dimensional Systems and Applications)は,2009年から年一回,
台湾・日本・韓国が持ち廻り開催する立体映像・音響のシステムとアプリケーショ
ンに関する国際会議である.第6回に当たる今回は,5月28日から30日の3日間,韓
国ソウル市内のRAPA (Korea Radio Promotion Association)で開催された.参加者
は,約110名で,口頭発表38件/9セッションと,ポスター発表41件の合計79件の発
表が行われた(韓38,台20,日15,ポーランド2,中1,仏1,独1,ポルトガル
1).初日の基調講演では,ISO/IEC JTC1/SC29/WG11(国際標準化機構と国際電気
標準会議の共同機関の下部組織で,画像・音声の符号化標準を開発する通称MPEG
[Moving Picture Expert Group]と呼ばれるグループ)の委員長であるLeonardo
Chiariglione氏(伊)が招かれ,MPEGに於ける3D関連の標準化取組は2000年から開
始されており,現在のUHDTV (Ultra High Definition Tele-Vision)用の立体映像
符号化標準開発につながっている事が紹介された.
 招待講演では,韓国ETRI (Electronics and Telecommunications Research
Institute)のJin Woon Kim氏が,2018年の韓国冬季オリンピックを目標に,韓国が
550億円を投じて,第5世代携帯電話に超多視点立体映像を伝送サービスするシステ
ムや画素サイズ1μmで10cm×10cmの電子ホログラフィシステム(視域28°)と,そ
れらのアプリケーションを開発するGiga Koreaプロジェクトの紹介が行われ,参加
者から大きな関心が寄せられた.日本からは,NHKの岩舘氏がNHKで開発されたイン
テグラル3DTVの紹介を行った.初日の夕方には,「超多視点映像とホログラムの
サービスとプラットホーム」と題したパネル討論会が開かれ,ETRIのChieteuk Ahn
氏を座長とし,東京農工大の高木康博教授,情報通信研究機構の山本健詞室長,台
湾国立成功大学のJar-Ferr Yang教授,同国立彰化師範大学のWei-Chia Su教授,
Leonardo Chiariglione氏,ソウル国立科学技術大学のSang-il Park教授がパネリ
ストとなり,超多視点立体映像や電子ホログラフィの実用化時期や,2018年韓国オ
リンピックや2020年東京オリンピックでの技術動向予測,今後の3D技術の目標など
が熱心に討議された.
 口頭発表では,3Dディスプレイとホログラフィに関する発表が最も多く27件あ
り,その次が3Dアプリケーションとシステムの18件,3D撮影と信号処理11件,3Dコ
ンテンツと知覚9件,他であり,立体音場制御に関する発表も3件あった.最終日の
夕方に開かれた閉会式では,優秀論文3件と優秀ポスター3件の表彰があり,大会旗
が韓国から,次回開催国である台湾に伝達され,1年後の再会が約束された.

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