SUI 2018 参加報告
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◆ SUI 2018
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亀岡 嵩幸(電気通信大学)
10月14日,15日にかけて第6回目となるSUI2018(ACM Symposium on Spatial User Interaction)がドイツ,ベルリン(Berlin)のPark Inn by Radisson Berlin Alexanderplatz Hotelにて開催された.本会議はユーザーが3D空間においてインタラクションを行う際に直面する様々な課題に対しての技術的解決手法の設計やその使用に関する研究を報告するものである.
本カンファレンスでは2件のKeynote,14件のLong Paper,5件のShort Paper,14件のPoster,9件のDemonstrationが発表された.ペーパーの投稿件数はカナダ,中国,ドイツ,インド,日本,韓国,スイスより61件投稿され,うち19件(採択率31%)が採択された.Paper Sessionは2日間にわたり行われ,Input and Output,Sketching and Haptics,Presence and Collaboration,Space and Learning,Selection and Travel,Robotics and Wearablesという6つのセッションに分かれて発表が行われた.Best PaperにはSungchul JungらによるOver My Hand: Using a Personalized Hand in VR to Improve Object Size Estimation, Body Ownership, and Presenceが選ばれた.これはVR環境における物体の大きさ知覚をユーザーの手の大きさを変化させた場合にどのような影響があるかを調べた研究であった.また,Best Short PaperはDenys J.C. MatthiesらによるStep Detection for Rollator Users with Smartwatchesが選ばれた.これはスマートウォッチを用いた歩行計測を行う際に,腕の振りを手掛かりとせずに歩行を検出する方法を提案した研究であった.また,Best PosterにはAkifumi TakahashiらによるHaptic Interface Using Tendon Electrical Stimulation: Evaluation of the Effectiveness on Multimodal Presentationが選ばれた.この研究は腱電気刺激による力覚提示とHMDを用いた視覚提示を組み合わせることでより高品質な感覚提示を行うというものであった.このほかBest Demo,Honorable Mentionが3つと計7つの賞が用意されていた.
筆者はHMDに吸引触覚提示機構を内蔵することでよりコンパクトかつ簡易な着脱を可能とした触覚提示付きVR体験を提供するHaptopus : Transferring the Touch Sense of the Hand to the Face Using Suction Mechanism Embedded in HMDという研究を投稿し,Short Paperとして口頭発表を行った.筆者は今回が初めての国際会議での口頭発表であり,英語発表での難しさを改めて認識した.特に質疑において質問が聞き取れず,回答に詰まるという醜態をさらしてしまったため入念な発表準備と語学力の強化を行っていきたい.
ところでSUIはユーザーインターフェース研究におけるトップカンファレンスであるUISTと併設されており,本年においても同じドイツ,ベルリンのすぐ近くの会場にてUIST2018が開催されていた.さらにSUIにて運営より選ばれた研究についてはUISTでPosterとして発表することができたため,筆者は国際学会投稿を狙う研究者らに非常に素晴らしい学会であるSUIへの投稿を勧めたく思う.
SUI2019はアメリカ,ニューオリンズ(New Orleans.)で開催される。こちらもUISTが併設される予定である.
http://sui.acm.org/2018/