IEEE VR 2018 参加報告
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|◆ IEEE VR 2018
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真鍋 慎之介(立命館大学)
2018年3月18日から22日にかけて,ドイツの南西に位置するロイトリンゲンにて
IEEE VR 2018は開催された.ロイトリンゲンの気温は氷点下10度を下回り,IEEE
VR史上最低気温を記録した.しかし,参加者は700人を超え,投稿数は昨年の約2倍
であったことから,VRへの熱は冷めるどころかより燃え上がっていたと言える.
会議の構成は主にPapers, Posters, Panels, Demos, Keynote, Exhibitsであり,
Journal Papers (TVCG) は178件から29件 (16.3%) が採択され,内6件がTVCGに直
接投稿された中からの招待であった.Conference Papersは316件から65件 (20.5%)
が採択された.Postersは約120件と多く,筆者も発表に参加していたが,ポスター
間の距離が近かったことから複数人との議論は困難に感じた.
賞はPapers,Posters,3DUI Contest,Demoに対して,BestだけでなくHonorabl
e Mentionも加えた2件が選ばれており,Doctoral Consortiumに対してはBestのみ1
件が選ばれていた.Best Journal Paper Awardには,Thomas Waltemate氏 (Bielef
eld University)のVR空間で使用するパーソナライズされたアバターを短時間で作
成する手法を開発し,作成したアバターを用いた身体操作が没入感に与える影響に
ついて報告した研究が選ばれた.アバターの作成では,40台のカメラで全身を,8
台のカメラで顔をスキャンする.開発した手法と2つの既存手法とを比較するため,
鏡に映したアバターか自分の体かを意識させた状態で,音声命令で身体動作をさせ
た後,アンケートで没入感を調査する実験を行った.その結果,開発した手法が最
も没入感が高いことを明らかにした.また,Best Conference Paper Awardには,E
lham Ebrahimi氏 (University of North Carolina Wilmington) のVR空間で用いる
アバターの有無や質が距離推定へ与える影響を報告した研究が選ばれた.Paper Aw
ardに選ばれた論文からは,アバターに関する研究が注目されているように見える
が,Papers,Posters,DemoにおいてはMicrosoft社製のHoloLensを用いた研究が多
数見られ,最新機材への注目が高まっているように感じた.
他にもInstitute Visitsでは,Fraunhofer IAOやMax Planck Institute for Bio
logical Cyberneticsに赴き,研究所の最新設備や研究内容を見学,体験すること
ができた.また,Banquetでは,PCやHMDの歴史の説明が実物を用いて行われた.
次回のIEEE VR 2019は日本の大阪で開催予定である.これは,2018年度にVRST 2
018,SIGGRAPH Asia 2018,IEEE World Haptics 2019など多くの会議が日本の東京
で行われるためだと説明されていた.大阪で生き残るためには,全ての会話にジョ
ークを入れ,大阪弁で話すことが必要だ!というジョークで会場が笑いに包まれた
後,IEEE VR 2018は幕を閉じた.
http://ieeevr.org/