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2017年12月25日

ICAT-EGVE2017 参加報告

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|◆ ICAT-EGVE2017
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松村 遙(奈良先端科学技術大学院大学)
 ICAT-EGVE 2017は,今年で27回目となる人工現実感とテレイグジスタンスに関す
る国際会議と今年で22回目となるEurographicsの仮想環境シンポジウムが合体し,
開催された会議である.今回は2017年11月22日~2017年11月24日の3日間,オース
トラリアのアデレードに位置する南オーストラリア大学にて開催された.発表件数
は,8ページのFull Paper 26件(投稿数42件,採択率61%),4ページのShort
Paper 7件(投稿数14件,採択率50%),Poster 17件(投稿件数22件),Demo 11
件であった.
 会議は基調講演から始まり,講演者にはウェアラブルコンピューティングのパイ
オニアであり,Google GlassのテクニカルリードでもあるProf.Starner氏が招かれ
,”Small, Lightweight and Fast: A Near Future of On-the-go AR and
Wearables” という題目で講演がなされた.ARとウェアラブルの様々な問題(FOVや
重量など)の現状とこの先の未来について,業界を率いている第一人者の方からの
貴重な講演を拝聴できた.
 Best Full Paperには “Dwarf or Giant: The Influence of Interpupillary
Distance and Eye Height on Size Perception in Virtual Environments” が,
Best Short Paperには “Assessing the Relevance of Eye Gaze Patterns During
Collision Avoidance in Virtual Reality” が選ばれた.前者では,VR環境において
瞳孔間距離や目の高さなどを操作することでユーザが受ける周囲環境とのスケール
感の影響が報告された.後者は,衝突回避の際のユーザの反応として頭部方向と視
線方向の関連を分析した研究であり,どちらも”目”に関連した研究であった.
 また,Best Posterには “Selecting Moving Targets in AR using Head
Orientation” が選出された.この研究では,ARコンテンツを重畳する対象となる
移動物体の選択手法として頭の向きを加味した手法を2種類提案され,従来の凝視
選択手法との比較が行われた.Best Awardが送られた研究はどれもARやVRなどの技
術そのものではなく,ARやVRを使用するユーザの使用状態に焦点が当てられた研究
だということが印象的であった.
 2日目のバンケットはアデレードで最も大きいというワイナリーで行われ,オー
ジービーフのステーキや美味しいワインが振る舞われた.次回のICATは,地中海に
面するビーチを有する観光地であるキプロスのリマソールにて開催される.
https://icat.vrsj.org/2017/

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