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2017年11月27日

UIST2017 参加報告

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|◆ UIST2017
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山田 渉(NTTドコモ/東京大学)
 ACM UISTは10月22日から25日にかけて,カナダ東部ケベックシティで開催
された.UISTは今年で30周年を迎え, HCI分野を代表する権威ある国際会議の
1つとされている.今回の会議では324件のFull paperが投稿され,そのうち73
件が採択された (採択率22.5%).さらに56件のデモ発表と26件のポスター発表
が実施された(採択率は共に非公開).今回発表されたデモのうち,31件はFull paper
の採択者から希望者を募り,発表されたものである.このようにFull paper採択者
のおよそ4割がデモ発表も希望しており,発表者の自身の研究を参加者に実際に体
験してもらい,議論をしようという意欲の高さが表れていた.またデモ発表では今
回のBest Demo Awardに選ばれたChengらの“Mutual Human Actuation”という2
人のVR体験者が相互にアクチュエートしあうようにデザインされたVRシステム
が特に大きな盛り上がりを見せていた.具体的には片方の体験者には釣りを,もう
片方の体験者には凧揚げのVRシステムを提供し,お互いの機材を紐でつなげ引っ
張り合うようにデザインすることで,あたかも複雑な物理フィードバックシステム
を伴ったVRシステムであるかのように感じさせるデモであった.またバンケット
では事前に与えられた課題に対して学生がチーム対抗でデモ発表を行うStudent
Innovation Contestも併催されており,こちらもデモ発表同様に非常に大きな盛り
上がりを見せていた.
 今回の会議では採択されたFull Paperの中から,Best Paperが3件,Best Paper
Honorable Mention Awardが8件選出された.またBest Demo Award, Best Poster
Award, Best Talk Awardがそれぞれ1件ずつ,Best Demo Honorable Mention Award
が2件表彰された.HCI分野で大きな影響を与えた過去のUISTの論文を選ぶ名誉
ある賞であるLasting Impact Awardには2002年にSony CSLから発表された
Poupyrevらの “Ambient touch: designing tactile interfaces for handheld devices”が
選ばれた.
 今年は特に日本人研究者の活躍が目覚ましく,東大,東工大,慶應,筑波大学,
NTTドコモなどの様々な組織から合計7本ものFull paperが採択された.著者自
身も飛行可能な球体ディスプレイに関する研究と,容易に実装可能な複数のタッチ
点を持つタッチセンサに関する研究についてFull paperを2件,さらにデモ発表が
2件採択された.特に前者の球体ディスプレイ研究はBest Demo Honorable Mention
を頂くことができた.
 来年のUISTは2018年10月14日〜17日にドイツのベルリンで開催される予定
である.
https://uist.acm.org/uist2017/

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