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2015年11月26日

ICAT-EGVE2015 参加報告

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|◆ ICAT-EGVE2015 参加報告
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大槻麻衣(筑波大学)
 2015年10月28日(水)~30日(金)に京都市国際交流館にて開催されたICAT-EGVE 2015は,今回で第25回の開催となる人工現実感とテレイグジスタンスに関する国際会議である.発表件数はPaper 25件(内2件Short,採択率51%),Demo 8件,Poster 11件であった.
 Best Paperには,Virginia TechのM. NabioyuniとD. A. Bowmanの”An Evaluation of the Effects of Hyper-Natural Components of Interaction Fidelity on Locomotion Performance in Virtual Reality”が選ばれた.VR空間における歩行動作について,実空間での歩行をスケーリングしてVR空間に反映する方法 (Seven League Boots) は狭いトラッキングエリアの場合に有効であるが「忠実さ」に欠ける.著者らは「生体力学的な対称性」として「実際の歩行」の場合と「Jump bootsを履いた」場合,「伝達関数の対称性」として「実際の歩行を拡張する」場合と「Jump bootsを履いた歩行を拡張した」場合を組み合わせ,歩行タスクの正確性,歩行速度,ユーザの満足度の観点から比較した.その結果,生体学的な拡張はVR空間でのパフォーマンスを向上させず,むしろVR空間側でどのように拡張するかが重要であることを明らかにした.Honorable mentionも同様にVR空間内の歩行を扱った研究が選ばれており,一見,古典的なトピックであってもまだまだ研究の余地があることが伺えた.
 Keynoteは錯視研究で著名な明治大の杉原先生から始まった.人の感覚をだます,という点でVR研究とも共通するところがあり,聴衆を大いに沸かせていた.2日目はサセックス大のSubramanian先生から様々なディスプレイのあり方について,3日目は筑波大の岩田先生から人を補完し,人と協調し,人を拡張するエンパワーメント情報学に関する講演があった.
 参加者数は約95名であり,国内での開催ということもあり,日本からの参加者が65%を占めていた.Banquetでは「鮒鶴」という京都の料亭でコース料理が振舞われ,舞妓による舞が披露されたり,ビンゴゲームで大変な盛り上がりを見せた.
 次回のICATは2016年12月にアメリカ アーカンソー州の州都,リトルロックにて開催される予定である.
 ICAT-EGVE2015
 http://www.ic-at.org/2015/

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