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2014年4月25日

IEEE VR 2014 参加報告

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|◆ IEEE VR 2014
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藤本雄一郎(奈良先端科学技術大学院大学)

 今年のIEEE VR 2014は,3月29日から4月2日まで,アメリカのミネソタ州ミネア
ポリス,ミネソタ大学近くのThe Commons Hotelで開催された.去年と同じく前半2
日間は併催の3DUIシンポジウムが開催され,31日から3日間がVRの本会議となった.
ミネアポリスはカナダ国境近くの都市であり,4月ながら朝夜は氷点下5度程度とな
り,雪が降ることもあった.
会議は主に,2件の基調講演,3件のパネルディスカッション,6つのペーパセッシ
ョン(内ロングペーパー18件,ショートペーパー10件,ペーパー採択率計24.1%),
31件のPoster,12件のリサーチデモから構成され,3DUIを含めた参加者は374名で
あった.初日の夜はミネソタ大学のデモンストレーションがレセプション時に行わ
れ,2日目の夜にはミネアポリス美術館においてアート作品を鑑賞しながらのバン
ケットが開催された.
 1人目の基調講演話者はUniversity of North CarolinaのHenry Fuchs氏であった.
氏のトークはエネルギッシュかつユーモアに満ち溢れており,近年VR向けのヘッド
マウントディスプレイを発売していたOculus VR社がFacebook社に20億ドルで買収
されたことにふれ,このことがVRの今後の一般認知のための非常に大きなチャンス
であると熱弁される姿が印象的であった.2人目のHIT LabのHunter Hoffman氏の基
調講演は,ひどい火傷を負った患者等の治療時の耐え難い痛みをVRシステムにより
軽減できるという話であった.実用的なVRシステムの話に,VR という分野のもつ
様々な可能性を再認識させられた.
 アワードは昨年に引き続き,今回も学会1日目の最初のセッション時に発表され
る形式が取られた.ロングペーパーからはBest paper award 1件,Honorable
mention 2件,ショートペーパーからはBest short paper award 1件,ポスターと
リサーチデモからはそれぞれBest Award 1件,Honorable Mention 2件ずつが選ば
れた.ロングペーパーのBest paper awardにはUniversity of GeorgiaのKyle
Johnsenらによる”Mixed Reality Virtual Pets to Reduce Childhood Obesity”
が選出された.著者らは,子供に日々の運動量を計測できる小型デバイスを持たせ,
その運動量により,家屋内に設置されたディスプレイ上の仮想的な犬型ペットの体
重が増減,または新たな芸を覚えるというシステムを提案した.これは子供の自発
的運動を促すことで,子供の肥満問題の解決を目的としたものである.取り上げた
問題の重要性,60人もの子供の被験者による入念なユーザスタディによりシステム
の有効性を示したことが評価されたものと思われる.
 筆者は今回が初めての参加で,ロングペーパーとリサーチデモでの発表を行った.
ロングペーパーセッションでは全体的に質疑の質・量ともに高い水準にあり,大い
に刺激を受けた.ポスター,リサーチデモ,スポンサー企業の商品デモは3日間通
して常設され,コーヒーブレイク時には参加者と発表者が熱心に議論する姿が会場
中で見られた.
 次回のIEEE VR 2015は,フランスのプロヴァンスでの開催が予定されている.
【公式サイト】
http://vr2015.inria.fr/

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