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2013年1月25日

VRST2012 参加報告

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|◆ VRST2012 参加報告
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大槻麻衣(立命館大学)

ACMが主催するVRに関する国際会議,VRST (ACM Symposium on Virtual Reality
Software and Technology) が12月10日から12日までカナダ オンタリオ州,トロン
トのダウンタウンで開催された.参加者は50人程度と小規模でアットホームな雰囲
気であり,参加者同士が議論しやすい会議であった.
会議は25件の口頭発表(採択率28%)のほか,15件のポスター発表(同 50%),
2件のKeynoteで構成されていた.VR Geeks associationのS. Kuntzは没入型VRの構
築についてLEGOのようにシンプルかつ自由度の高いフレームワークが必要であると
主張した.The S-3D Gaming AllianceのN. SchneiderはHMDの歴史と近年の3Dゲー
ムの発展を絡めながらVRの未来について述べた.
Best paper awardはR. Stenholt (Aalborg Univ.) によるPhotoshopのMagicwand
のようなインタフェースで3次元空間内の複数オブジェクトを半自動的に選択する
手法を提案した “Efficient Selection of Multiple Objects on a Large Scale”
が選ばれた.手法としてはシンプルながら,論文の書き方のお手本になるような丁
寧な評価,考察を行った点が評価されたものと思われる.
Short Paperではあったものの,J. Ardouin (ESIEA – INSA – Inria) らの全周
囲カメラを頭部に取り付け,人の視覚の拡張を試みた研究”FlyVIZ: A Novel
Display Device to Provide Humans with 360° Vision by Coupling
Catadioptric Camera with HMD”も印象深い研究であった.視野360度をHMDで一度
に提示することで人の知覚にどのような影響を及ぼすのか,どのように人は適応す
るのか(著者自身は15分程度で慣れ,後ろ向きに歩くことや,車の運転もできた,
と述べていた),と興味は尽きず,今後の発展が期待される.
その他,物理モデリングとKinectを組み合わせ,頑健かつ精度の高いリアルタイ
ムトラッキングを実現したH. Shum (Northumbria Univ.) らの”Real-time
Physical Modeling of Character Movements with Microsoft Kinect”はその場で
のデモを成功させ,拍手を得ていた.
ポスター・デモ発表では発表件数に対して十分な時間が設けられており,ゆっく
り体験,議論が出来ていたようである.
2日目夜には懇親会が催され,プログラム委員長によるBest paperの表彰が行わ
れた.開催地であるカナダは移民の国として有名であり,トロントも様々な民族の
コミュニティがあり国際色豊かな都市である.学会1日目には有志で夕食にギリシ
ャ料理,3日目には中華料理,と各国料理を楽しんだ.3日目の食後には大阪大学の
清川先生とUniversity of TorontoのP. Milgram先生と,自身の研究について時間
を忘れて議論する場面もあった.
来年のVRSTは,シンガポールにて開催予定である.
<a href=”http://graphics.science.uoit.ca/vrst2012/Welcome.html

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