ACM Multimedia 2012 参加報告
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|◆ ACM Multimedia 2012 参加報告
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田中ゆり(beyond [space + art + design])
2012年10月20日~11月4日,全米電算機学会ACMの主催する国際学会「ACM
Multimedia 2012」20周年大会が奈良県新公会堂で開催された.各プログラムの会
場は,奈良公園を舞台に点在する.平城遷都1,300年を越え,奈良の町並みは悠久
の歴史を重ね,未だ古都の佇まいを残す.その時空間の中で,参加者は文化と科学
技術が人間によって編み上げられてきたことを実感する契機を得られたように思わ
れる.
本会議にあわせて実施されたアート部門の企画展「Eternal/Moment」は,東大寺
南大門へ近づいていくと手前に現れる,東大寺総合文化センターで開催された.大
阪大学の安藤英由樹と東京都現代美術館の森山朋絵が共同議長を務めた本展では,
国内外で活躍する12組のアーティストや研究者が迎えられた.木本圭子と徳島大学
の研究チームの共同作品”Optically Coupled Oscillators (OCOs) —
LED fireflies,” 安藤英由樹,渡邊淳司, 佐藤雅彦による”empathetic heartbeat,”
宇宙芸術研究コミュニティbeyond [space + art + design](以下beyond)による
宇宙芸術プロジェクトなど,科学技術と芸術の協働した研究成果の一端が発表され
たほか,台湾や米国からのグループ,Ars Electronica Futurelabによる”Ars Wild
Card”や文化庁メディア芸術祭地方巡回事業など,メディア融合が顕著な多岐にわた
る作品形態がみられた.
なお,筆者の所属するbeyondが研究実践に取り組む宇宙芸術とは,地球外からの
視点を基盤として,芸術,科学,工学を融合する包括的な領域である.そのような
新たな領域が構築されつつある現在,本展では,宇宙芸術の概要や,筑波大学の逢
坂卓郎と宇宙航空研究開発機構(JAXA)による国際宇宙ステーション(ISS)で実
施された宇宙芸術実験などを紹介した.
さらに,デザイナー・多摩美術大学教授の永原康史による公式ロゴ,CGアーティ
スト・映像作家の森野和馬によるトレーラームービーなど洗練されたデザインが組
み込まれ,本会議も総合的にリデザインされた.
本展のタイトルでもある,「Eternal/Moment」.訪れる人々は,現在に集約され
るひとつひとつの瞬間が連なって形成されていく,永遠の時間の一部を経験する.
修学旅行のメッカに位置する会場で目にしたのは,日本全国からの修学旅行生や世
界各地からの観光客など,非常にユニークな来客層であった.本展が人間とメディ
アの新しい可能性を発見する一助となったことを願う.
次回のACM Multimedia 2013はスペイン東部カタルーニャ州,バルセロナで開催
される.古代からの歴史と先端技術の織りなすダイナミズムが,再び生み出される
だろう.
ACM Multimedia 2012: <a href=”http://www.acmmm12.org/ae/
beyond [space + art + design]: <a href=”http://beyond-spaceart.net/
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