ISMAR2012 参加報告
+----------------------------------------------------------------------+ |◆ ISMAR2012 参加報告 +----------------------------------------------------------------------+ 吹上 大樹(東京大学) 2012年11月5日から8日にかけ,ISMAR2012(第11回International Symposium on M ixed and Augmented Reality)が米国ジョージア州アトランタで開催された.今年 の投稿件数は論文105件,ポスター38件で,論文採択率は26.6%であった.参加者は 約350名で,その内訳はアメリカ,ドイツに次いで日本が3番目に多かった.Progra mChair 3人中1人,Program Committee Member 15人中3人の計4人も日本人がいるこ ともこの学会の大きな特徴といえ,AR/MR分野における日本の存在感の大きさが伺 える.今年は初日にワークショップとチュートリアルがあり,その後の3日間で2本 の基調講演,28本の口頭発表,35本のポスター発表,36本のデモ発表が行われた. これらの発表とは別に,各自で議題を決めてディスカッションを行うBOFセッショ ンもあった.口頭発表は全てシングルセッションで行われたため,事前に聴きたい 発表を絞る必要がなかったのは嬉しい点であった.基調講演は,USCのPerry Hober man氏による”Portable Reality: Expanding Available Space”と,Microsoft Re searchのShahram Izadi氏による”A New Era of Human Computer Interaction”が 行われた.両氏とも多数のデモと巧みなトークで会場を沸かせていたのが印象的で あった.Banquetでは,研究テーマ別投稿数等の興味深い統計が発表され,それに よるとやはりトラッキング技術に関する研究が人気で,投稿数が非常に多く,その 約50%が論文あるいはポスターとしてアクセプトされていた.それに次いでユーザ ビリティスタディやインタラクション技術に関する投稿が意外に多く,こちらも多 くがアクセプトされていた.AR/MR分野におけるHCI(Human Computer Interaction) 研究の必要性の高まりを示しているのかもしれない. Best paper awardには,カリフォルニア大学Santa Barbara校のSteffen Gauglit zらによる”Live Tracking and Mapping from Both General and Rotation-Only C amera Motion”が選ばれた.この研究では,並進を含む運動と回転だけの運動とい う2種類のカメラの動きに応じて,シームレスに追跡やマッピングの手法を切り替 えることで,任意のユーザーの動きに対応できるMRシステムの提案がなされた.ま た,今年から新たに10年程度の期間でAR/MR分野に貢献してきたことを評価する”L asting Impact Award”という賞が追加され,これにはARToolKitを開発した奈良先 端大学の加藤博一教授らによる”Marker Tracking and HMD Calibration for a Vi deo-based Augmented Reality” (IWAR1999)が選ばれた. 次回のISMARは2013年10月1日~4日の日程で,オーストラリアにて開催される予 定である.時差が小さく,日本から参加するには条件が良いため,研究発表の場の 有力候補として考えてみてはいかがだろうか. URL: http://ismar.vgtc.org/
Category: 学会参加報告
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