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2012年11月26日

ACE2012 参加報告

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|◆ ACE2012 参加報告
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水口 充(京都産業大学)

 今年のACE (Advances in Computer Entertainment Conference) は11月3日~5日
にネパールの首都カトマンズのCrowne Plazaホテルで開催された.20余国からの約
120名の参加者で,半数ほどは日本人,他は欧州・東南アジアなどであった.北米
からの参加はほとんどなく寂しい気もする.発表数はロング10件,ショート19件で
あったが発表時間が短く慌ただしい印象があった.
 初日は通常のセッションに加えCreative Showcaseセッション(デモ発表)が,
街中にあるWorld Trade Center(と言っても少し綺麗な普通のビル)に移動して開
催された.このセッションは一般公開で,ACE開催前日にも行われた.一般の方の
関心も高く家族連れなどで多数来訪され,熱心に聞いていたのが印象的であった.
また,現地学生がデモの手伝いをしていたが理解が良くスキルも高いと展示者に評
判になっていた.
 二日目は会場を現地の小・中学校に移し,通常セッションと招待講演の他,ポス
ターセッションや子供向けのワークショップなどが開かれた.最初に訪れたのはUl
lens校という私立校で,設立間もないこともあって綺麗な学校であった.午後は都
市部から少し離れたRydrayani校という公立校に移動した.中世風の佇まいの通り
を抜けたところにある,全校生徒が数十人程度の小さな学校であった.我々は子供
たちに大歓迎を受け,ワークショップやポスター発表などを行った.ポスターを貼
るパネルも無かったが,建物の壁など思い思いの場所に貼って説明していた.
 今回気になったのは現地の人たちはどのように見ていたのか,である.例えばRy
drayani校には非常に旧式なパソコンが1台あるだけで電気も十分でない(カトマン
ズ市内でも頻繁に停電が起こる).一方,携帯電話は普及していて村でもSIMを売
っていたりする.子供たちは英語を学んでいて会話が成立していた.このようにア
ンバランスであるが,ネパールは国を挙げてIT産業の育成に取り組んでいるそうで
ある.今回の会議開催が何らかの形で現地への刺激になったことを願うし,我々参
加者も自分の研究と発展途上国の関わりについて各自考えるところのあったことと
思う.最果ての地での有意義な開催であり,困難な運営に携わった方々に感謝の意
を表したい.
 登壇発表とデモ発表の中からそれぞれ3件ずつ賞が選ばれた.登壇発表のGold Pr
izeはTechnical University of LisbonのPereiraらによるSocially Present Board
 Game Opponentsで,多人数でプレイするボードゲームで他のプレイヤと社会的に
協調するロボットプレイヤの研究であるが,コンセプトのみならず実装がしっかり
していたのが印象的であった.
 来年はオランダのEnschudeにあるTwente大学で開催されるとのこと.今回とはま
た違った趣の開催になりそうで,今から楽しみである.

URL: http://ace2012.info/
Category: 学会参加報告

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