UIST2012 参加報告
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|◆ UIST2012 参加報告
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尾形 正泰(慶應義塾大学)
25th ACM Symposium on User Interface Software and Technology (UIST 2012)
が2012年10月8日〜10日の3日間,アメリカ・ボストンのMarriott Cambridgeにて開
催された.UISTはユーザインタフェースに関するトップカンファレンスの一つであ
る.本年度の論文投稿数は288件あり,そのうち62件が採択され,採択率は22%であ
った.
デモと学生コンテストが初日の夜に,ポスターは二日目の昼と夕方の休憩中に展
示された.デモは13件,ポスターは23件の採択があり,会場では参加者との意見交
換が行われた.我々の研究も含めて,日本からも口頭発表・デモなどでそれぞれ数
件の発表があった.
スポンサーであるSynapticsのタッチパッド製品を用いて作品を制作する学生イ
ノベーティブコンテストでは,関西学院大学のチーム(河野研)がバーチャル紙
相撲を制作し,Most Creative賞を受賞した.
今年のベストペーパー賞には次の3件が選ばれた.Microsoft Researchの
Clipletsは,動画の一部を切り出して動画部分と静止部分に分けることで,動きの
ある部分を強調するアイディアである.CMUの研究者が発表したCrowdScapeは,
テーブルトップを利用する複数人の手の甲を画像認識することで,個人を識別する
手法である.最後に,MITの研究者によるJamming User Interfacesは,袋に入れた
素材が固まることで,自在な形のインタフェースにするアイディアである.袋には
流体とともにビーズが混ぜてある.こうしたorganic UIの研究は日本でも行われて
いるが,形状に合わせてインタフェースの機能を提供している点で興味深い.
また,口頭発表の中から数件紹介する.CHI2012で発表されたTouchéの技術を用
いてタッチパネルを触るユーザを識別する手法が提案された.デモ展示では実際に
ユーザの静電容量を数秒で計測し,識別する様子を体験できた.PICOntrolはユー
ザがピコプロジェクタを機器に向け,投影されたコントローラによって機器を操作
するアイディアである.機器の情報を送受信できるLED,フォトトランジスタを機
器に貼付けておく.この研究はBest paper nomineesに選ばれている.
次回は2013年10月8日〜11日の4日間,スコットランドのセントアンドリュース
で開催予定である.
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