KJMR2012 参加報告
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|◆ KJMR2012 参加報告
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森 尚平(立命館大学)
2012年4月13日から15日にかけて,本学会の複合現実感研究委員会が韓国のAR/MR
研究者らと共催する国際ワークショップ,KJMR2012 (The 5th Korea-Japan Work-
shop on Mixed Reality) が開催された.本ワークショップは,日韓交互の開催を
特徴とし,本年度は韓国の首都ソウルに位置するHongik Universityにて開催され
た.参加者は50名程度で,日韓以外の参加として,昨年度に引き続きシンガポール
のNUS (National University of Singapore),そして新たにニュージーランドの
HITLab NZ (Human Interface Technology Laboratory New Zealand),中国からの
参加もあり,より一層の賑わいを見せた.
WorkshopはTracking,Interaction,Diminished and Spatial AR,AR/MR Appli-
cation 1 & 2,3D Reconstruction and Modeling の6つ口頭発表セッション,およ
び1つのパネルディスカッションで構成されており,口頭発表セッションでは,23
件(前年度:21件)の発表がなされた.毎年,注目度の高いTrackingのセッション
では,筆者の発表を含み,ビジョンベースのカメラ位置姿勢推定法が中心となった.
また,真値を得ることが難しいこれらの手法の精度評価のためのベンチマーク用映
像生成法に関する発表が注目を集めた.同発表内で紹介されたTrakMarkの活動も含
め,AR/MR分野発展への寄与が期待される.昨年度,Trackingや3D Reconstruction
等で利用され注目を集めたRGB-DカメラのMicrosoft社製Kinectが,今年度はInter-
actionのセッションで登場した.この講演では,奥行き情報から復元した手形状に
よりCGとのインタラクションを可能にする方法が提案された.Diminished and Spa-
tial ARのセッションでは,画像修復技術によりARマーカを視覚的に除去する手法
が提案された.これは,過去のDR(Diminished Reality,隠消現実感)研究と比較
しても,正に消えているといった印象で,DR技術が提示できる映像表現の可能性を
感じた.AR/MRの将来像を描く上で注目が集まった活動に,AR/MR Application 2で
紹介された,ISO SC24 WG9 (Augmented Reality Continuum) が挙げられる.これ
は文字通りAR/MRの標準規格策定のためのワーキンググループであり,こういった
団体の発足自体がAR/MRの発展を裏付けていることに他ならない.
今回は韓国での開催ということで,発展目覚ましい韓国の活気というものを身を
以て体験する事ができ,渡航経験の少ない筆者にとっては, 食文化の違いや,夜
も賑やかな街も新鮮かつ刺激的であった.また,より多くの国からの参加は,質疑
応答やReceptionでの交流をより豊かにする喜ばしい展開であった.
次回のKJMR 2013の開催地は未定である.これは,先述の通り,日韓以外からの
参加者が増えたことを受けてのことである.次回のKJMRはアジア全体を考慮した名
前として再編成される可能性があることが,General Co-Chairの蔵田氏から伝えら
れ,今後の新たな発展への期待とともにKJMR 2012は幕を閉じた.
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