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2011年11月28日

第16回大会 参加報告

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|◆ 第16回大会 参加報告
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笠田 和宏 (東京大学)

 2011年9月20日(火)~22日(木)の3日間,北海道函館市公立はこだて未来大
学において第16回日本バーチャルリアリティ学会大会が行われた.シミュレー
ションや五感に関する研究,アートに至るまで,VRに関する幅広い分野について
口頭発表,展示が行われ,その中で非常に有意義な時間を過ごす事ができた.
 口頭発表では,様々な種類の研究発表と活発な質疑応答が行われた.私自身が
MR/ARの研究を行っている事もあり,MR/ARに近い分野のセッションに多く参加し
たが,今年は特にスマートフォン,もしくはタブレット端末を用いて画像処理を
行ったシステムが多かったようである.近年,性能が向上しているとはいえ,ま
だまだ本格的な画像処理を行うためには十分な性能を得られないスマートフォン
やタブレット端末で,リアルタイムの画像処理を行うために様々な工夫がなされ
ており,これらのアイディアは研究者の一人としてとても勉強になった.
 今回の学会参加の中で最も印象に残ったのは,大会前日の2011年9月19日
(月)に行われた特別企画ツアー「函館散策 -新たな街並みの表現を求めて-」
への参加である.函館は多くの歴史的街並みが残されている観光地であり,数々
の映画やCMのロケ地としても知られている.このツアーの中では,スマートフォ
ンアプリ「junaio」を用いることで,歴史に関する情報を見たり,古写真と今の
街並みを見比べたり,またCMのシーンを見る事もできた.情報をGPSベースで表
示しているため,まだ情報提示の位置精度が高くはなかったが,函館の歴史を感
じさせる街並みとともに,映像や情報を鑑賞する事は,パソコンの前でそれらを
見る事よりはるかに面白く感じた.今回は,情報系の技術に詳しい参加者を対象
にした実証実験だったが,このようなMR/ARシステムが観光などの分野で広く使
われていく可能性は大きいように思う.
 今回の大会では函館散策を行い,また,はこだて未来大学の広々とした敷地の
中での大会に参加したという事もあり,北海道の風土を感じられる大会になった
と思う.セッションの合間にも未来大学による地域の支援のための研究もいくつ
か見る事ができ,とても興味深かった.大会は様々な技術に触れ,またその土地
に触れるとてもよい機会だと感じ,ぜひともまた参加したいと考えている.
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