第19回VR心理学研究会 参加報告
+----------------------------------------------------------------------+ |◆ 第19回VR心理学研究会 参加報告 +----------------------------------------------------------------------+ 北崎充晃(豊橋技術科学大学) 基礎心理学,バーチャルリアリティ,そして聴覚心理・生理学の融合領域の 研究成果発表と討論の場として,VR心理学研究会と日本音響学会聴覚研究会の 共催研究会が2012年2月4-5日に那覇市IT創造館で開催された.那覇市IT創造館 は,那覇市副都心の一角にあり,ゆいレールの古島駅あるいはおもろまち駅か ら徒歩15分の位置にある. 研究会では,自己運動知覚,音ピッチ知覚,頭部伝達関数による音源定位, 顔と声のクロスモーダル情動認知,聴覚皮質の光学的計測など多岐にわたるテ ーマが発表された.例えば,寺本渉,古根史雅,坂本修一,行場次朗と鈴木陽 一(室蘭工大,東北大)の研究発表は,実際に移動する被験者の音源定位につ いて調べ,音空間が移動時には前後に圧縮することを示し,崔正烈,寺本渉, 坂本修一,岩谷幸雄と鈴木陽一(東北大,室蘭工大)の研究発表は,実際の移 動ではなくベクション(視覚誘発性自己運動知覚)時の音源定位が空間参照枠 の影響を受けることを示した.また,氏家悠太,浅井智久,田中章浩,浅川香 と若林明雄(千葉大,早大,東北大)の研究発表では,健常者の自閉症スペク トラム指数と音声認識における視聴覚相互作用であるマガーク効果(gaと発音 している顔映像をみながら,baという音声を聞くと,daに聞こえる現象)との 相関を調べており,自閉症傾向の強い被験者ではマガーク効果による視聴覚融 合が生じ易いという結果が報告された.このようなクロスモーダル研究は,視 知覚の基礎心理学においてもバーチャルリアリティ研究においても,現在非常 に注目を浴びている問題であり,活発な議論が行われた.今回の全発表23件の 内,7件がクロスモーダル研究に関係するものであった.参加者数は,初日が 43名,二日目が39名の計82名であり,全体として非常に盛会であり,会場が少 し狭いくらいであった. VR心理学研究会は,年に2回開催される.今回は19回目であり,次回は,6月 頃に室蘭工業大学で開催予定である. http://www.tutkie.tut.ac.jp/~mich/vrpsy/
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