SIGGRAPH ASIA 2023
小関 裕介(東京大学)
ACM SIGGRAPH Asia 2023 は,2023年12月12日から15日にかけてオーストラリア
・シドニーにあるInternational Convention Centre Sydneyにて開催された.
本会議は,コンピュータグラフィックスとインタラクティブ技術に関連する基礎
研究や技術開発・アプリケーションへの応用など様々な話題について議論が行わ
れる国際会議であり,毎年冬頃にアジアの様々な都市にて開催される.
会議1日目はホールにてFast Forward Sessionが行われた.本Sessionでは
Technical Paper採択者が各40秒で研究紹介を行うもので,アニメーション形式
での紹介や歌での紹介など,40秒という短い時間で自身の発表を印象付ける
ために様々な工夫が凝らされていたのが印象的であった.
会議2日目から4日目にかけてはArt Gallery・Emerging Technologies・XR Demo
・企業展示など合わせて50以上のデモ・作品が1つのスペースにて展示され,
筆者としては数多くの展示を体験出来たことが大きな収穫であった.
Emerging TechnologiesのBest Student Demo として表彰されたSinghalらの
「FIRE: Mid-Air Thermo-Tactile Display」のデモブースでは,キャンプファイ
ヤーの焚き火・噴水・ティーポットの蒸気の3つの異なる触感を手のひらに提示
するデモを体験した.このシステムでは,ユーザーはHMDを装着し3つの各VR
シーンに没入した状態で,ヒーターで加熱された熱気流を超音波ディスプレイに
よって集中・分散させることで手のひらに提示しており,視覚・熱・触覚を統合
した感覚を提供していた.他のAwardでは,Emerging TechnologiesのBest-in-
showにAndoの「Synced Drift: A Novel Sport Using a System that Harmonises
Human Movement to Transcend Distance and Ability」,People’s choiceに
Zelenskayaらの「Visual-gestural Interface for Auslan Virtual Assistant」
が選ばれた.XR DemoではBest-in-showにOnodaらの「Transcale: Embodiment
transition toward Multi-verse exploration」,Audience choiceにKiuchiらの
「PerfectFit: Custom-Fit Garment Design In Augmented Reality」が選ばれた.
Emerging Technologiesの口頭発表ではリアルタイムデモをする登壇者もおり,
非常にライブ感のあるインタラクティブな発表が多い印象を受けた.
筆者は会議2日目から4日目にかけて,アバターを用いた新たな飲食体験の探究
についてポスター発表を行った.コアタイムには多くの参加者がポスターセッ
ションに集まり,活発なディスカッションを行うことができた.特に,自分と
興味の近い研究者とその場ですぐに議論を交わし,連絡先を交換することが出来
たのがオフライン会議ならではの魅力を感じた瞬間であった.Poster Sessionの
Awardは,Honorable mentionにKaminakaらの「Efficient and Accurate
Physically Based Rendering of Periodic Multilayer Structures with
Iridescence」,Audience choiceにBourahmouneらの「A remote training
platform for learning physical skills using an AI powered virtual coach
and a novel IoT sensing mat」が選ばれた.
次回のACM SIGGRAPH Asia2024 は12月3日〜12月6日にかけて東京で開催される
予定である.
ACM SIGGRAPH Asia2023 公式サイト: https://asia.siggraph.org/2023/