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2022年1月26日

IDW’21

田口遼斗(徳島大学)

今回のThe 28th International Display Workshop 2021(以降IDW’21)は12月1日(水)から12月3日(金)の3日間に渡り開催された.昨年に続き,COVID-19の影響によりすべてオンライン上で開催された.本会議では310件の論文が採択された(3件の基調講演,142件の招待講演,103件の口頭発表,62件のライトニングトーク).発表者は,事前に発表用の動画を録画し,提出する方式であった.発表にはzoomが用いられ,動画の終了後に質疑応答に移った.口頭発表ではセッションの最後に,発表者たちがそれぞれのブレイクアウトルームに入室し,個別で議論を行った.ライトニングトークはチャットのみでの質疑応答となった.セッションは,「Information Display, Artificial Intelligence, and Smart Society」,「Liquid Crystal Science and Technologies」,「FPD Manufacturing, Materials and Components」,「Inorganic Emissive Display and Phosphors」,「OLED Displays and Related Technologies」,「3D/Hyper-Realistic Displays and Systems」,「Applied Vision and Human Factors」,「Projection and Large-Area Displays and Their Components」,「Electronic Paper」,「MEMS and Emerging Technologies for Future Displays and Devices」,「Display Electronic Systems」,「Flexible Electronics」,「Touch Panels and Input Technologies」で構成される.本会議では,ディスプレイに関する幅広い観点で,最新の研究動向を知ることができる.また,会議の様子はセッションごとにアーカイブに残るので,無理のない参加が可能である.
 筆者が興味深いと感じた発表は,「High-Definition Equivalent 3D Imaging and Display System」というタイトルの発表である.この論文では,特殊なメガネを必要とせず,水平・垂直方向に完全な視差があり,複数人で見ることができ,視覚疲労が起こりにくいディスプレイの構築システムを提案している.提案システムは,撮像システムで撮影された映像を視点補間処理,時分割表示することによって384の視点数を用意し,それぞれの視点が1920×1080画素を持っている.このディスプレイシステムの原理は,複数の多視点映像を投射・表示することで,高密度に多数の光線を再構成し,その光線を光線間隔に応じてトップハット型の拡散特性を持つスクリーン上に適切に拡散させることである.映像は滑らかで高画質であることがオンライン上でも感じられた.
 IDW’22は,12月14日から16日にかけて福岡で開催される予定である.最後に,写真を提供してくださったIDW事務局の方々に謝意を表したい.
公式サイト:https://www.idw.or.jp/

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