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2023年9月25日

VRSJ Newsletter – 2023年9月号 – ( Vol. 28, No. 9 )

日本バーチャルリアリティ学会 会員各位
Newsletter 2023年9月号をお届けいたします.
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日本バーチャルリアリティ学会
Newsletter – 2023年9月号 – ( Vol. 28, No. 9 )
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https://vrsj.org/
< 内容目次 >
1. 報告集
 ◆ HCII2023
  野﨑 颯人(立命館大学大学院)
 ◆ SIGGRAPH2023発表
  東條 建治(東京大学)
 ◆ SIGGRAPH2023展示
  縣 尚希(東京大学)
2. 学会からのお知らせ
 ◆ 主催・共催行事のご案内
 ◆ 協賛行事のご案内
 ◆ 賞に関するご案内
 ◆ 論文誌に関するご案内
3. 関連情報
 ◆ CALL FOR PAPER
 ◆ CALL FOR PARTICIPATION
 ◆ ニューズレター編集委員会からのお知らせ
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1. 報告集
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◆ HCII2023
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野﨑 颯人(立命館大学大学院)
 2023年7月23日(日)から28日(金)にかけて,デンマークのコペンハーゲンに
てInternational Conference on Human-Computer Interaction 2023 (HCII2
023)が開催された.77カ国から2807名(オンライン1539名,現地1268名)が
参加し,1835本の論文(内257本はLate Breaking Work)と522本のポスター
(内123本はLate Breaking Work )が352のセッションで発表された.前半の3
日間はオンラインのみの論文発表と並行してTutorialsとWorkshopsが行われ,
後半3日間はオンラインに加えて現地での論文発表とポスター発表も行われた.
各セッションの発表では,大人数での会議をサポートする「Whova」と「Zoo
m」の2つのプラットフォームを組み合わせた発表環境が整備されており,現
地と遠隔の発表者とのスムーズなやりとりが実現されていた.また最終日に
は,現地のみで初の試みとなるDesign Caféが開催された.本イベントでは,
HCIに関連する創造性とインスピレーションを高め,革新的な実践アプローチ
を促進することを目的とし,少人数制の議論の場が提供された.
オープニングセレモニーでは21本のBest paper awardsが発表され,オープニ
ングキーノートには,カーネギーメロン大学のSara Kiesler教授が招かれた.
教授は”Research Challenges to Humanizing Cyberspace”というタイトル
で,ネット上での嫌がらせやいじめ,プライバシーの侵害や詐欺などのグロ
ーバルなサイバースペースにおける脅威や被害について紹介した.今や我々
の日常に欠かせない存在となったネット上でのコミュニケーションに対して,
誤った情報・言動に対する警戒の重要さを再確認した.
論文発表として,筆者は”Gesture-based interaction”のセッションで,筋
電位計測を用いた力の入力が,力の制御精度と作業負荷に与える影響の分析
について発表を行った.セッション内ではオンラインと現地のそれぞれから
発表と質疑応答が活発に行われ,今までにない柔軟な議論の体制が整ってい
たと実感した.また筆者は,現地に赴いての学会参加自体が初めてであった
ため,研究者が自由に話し合う会場の雰囲気や他のセッションを訪れる気軽
さなどを実感し,現地参加の良い点に直接触れることができた貴重な機会と
なった.
次回のHCII2024は6月29日から7月4日にかけて,アメリカ合衆国の首都である
ワシントンD.C.で開催予定である.HCII2023で導入された現地とオンライン
を繋ぐ新体制は,発表者と公聴者双方に大きな利点があり,快適さと利便さ
を兼ね備えていると実感したため,今後の新たな会議のあり方として検討さ
れることを強く願う.
公式サイト:https://2023.hci.international/index.html
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◆ SIGGRAPH2023発表
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東條 建治(東京大学)
 8月6日から8月10にかけての5日間,コンピュータ・グラフィクス(CG)分
野最大の国際会議,SIGGRAPHがアメリカ・ロサンゼルスで開催された(URL:
https://s2023.siggraph.org/).SIGGRAPHは今年度で節目の50回目の開催
であり,パンデミック後で初めて制限なしの現地開催ということもあって,
会場となったロサンゼルス・コンベンションセンターは大勢の参加者で賑わ
った.
 会場では例年通り,最新のCG研究発表が行われるTechnical Papersセッシ
ョン,企業や大学のグループが機材を持ち込んでデモを行うEmerging Techn
ologies(E-Tech)やLabプログラム,企業展示ブースなど多くの見所があり,
どれも現地参加者で活気に溢れていた.筆者はTechnical Papersセッション
での発表のために参加していたが,論文発表以外にもE-Techなどでの最新技
術のデモを体験するなど,いろいろな楽しみ方ができた.体験した中では特
に,Nvidia社のNeRF技術を用いたライブビデオ会議システムのデモが印象的
だった.その場で取った写真をもとに一瞬で自分の顔のリアルな3Dアバター
を作成し,リアルタイムで自分の表情をアバターに転写して送信できる技術
には驚かされた.人間の顔のデータセットで事前学習された機械学習モデル
を使用してアバターを作成しているため,実際の自分の顔より微妙に鼻が高
くなるなど,体験して初めてわかることもあり面白かった.
 筆者が発表したTechnical Papersセッションでは,616本の論文が投稿され,
126本が論文誌ACM Transactions on Graphicsに掲載されるジャーナル・トラ
ックに,86本がカンファレンス・トラックに採択された.論文発表は,各論
文につき10分(カンファレンス論文は9分)の口頭発表のあと,合同の質疑応
答時間(同一セッションで発表された論文のどれにでも質問できる)があり,
その後は発表したホール内の指定された場所でインタラクティブ形式でのポ
スターセッションを行うという形式であった.近年の論文本数の増加傾向を
受け,全体的に発表時間を短縮しつつ,特に興味のある論文について集中的
に発表者と聴衆が議論を交わせるよう,このような少し変則的な形となった
ようである.筆者はファブリケーションのセッションであったが,筆者を含
め,各発表者はポスターセッション中に実際の制作物を手に取ってもらうな
ど,インタラクティブ形式ならではの有意義な議論を交わしていた.筆者は
Stealth Shaperと題して,ステルス航空機の形状様式から得た着想をもとに,
様々な入力形状に対してその初期形状を保ったまま反射特性を最適化するた
めのアルゴリズムを発表した(URL: https://kenji-tojo.github.io/public
ations/stealthshaper/).
 本年度はBest Papers賞として5 件, Honorable Mentions賞として8件の論
文が表彰された.Best Papers賞の顔ぶれだけでも,VRのための新しいnear-
eyeディスプレイの提案,所望の変形特性を生み出すストライプ模様のファブ
リケーション,表面再構成のための法線の向き付け手法,NeRFの高速レンダ
リング手法,ロボットの足のモーションの生成手法と非常に多岐にわたる研
究がSIGGRAPHで発表されていることが見て取れる.こうした多様性もSIGGRA
PHの魅力の一つである.
 来年のSIGGRAPHはアメリカ・コロラドのデンバーで開催される.今回の参
加で受けた刺激を忘れず,来年もまた参加できるように研究に打ち込みたい.
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◆ SIGGRAPH2023展示
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縣 尚希(東京大学)
 2023年8月6日から8月10日の5日間に渡り, アメリカ西海岸のロサンゼルス
において, SIGGRAPH 2023 (https://s2023.siggraph.org/) が開催された.
SIGGRAPHは, 例年1万人以上が参加する, コンピュータグラフィックス分野
でのトップカンファレンスである. 会議の特徴として, 最新の研究成果が発
表されるのみならず, 産業・芸術界からの参加も多く, 技術論文発表の場で
あるTechnical Papersをはじめとして, 芸術論文を扱うArt Papers, 技術デ
モが多く展示されているEmerging Technologies, XR関連の展示物が集まるI
mmersive Pavilion, 選抜された映像作品が上映されるElectronic Theater,
映像・ゲーム制作会社が制作現場における技術的な話題や制作の裏話などに
ついて紹介するProduction Sessionなど, 幅広い催しが開かれていた. 今年
は50回目の開催となり, 会場では50周年を記念した展示物や企画なども開催
された.
今年のTechnical Papersでは, 25ヶ国から616本の論文が提出され, 239本の
論文 (Journal Track 126本, Conference Track 86本, TOG 27本)が採択さ
れた. Honorable mentionsには8本, Best Paperには5本の論文が表彰され,
また, 今年から新設された, 今日の研究に多大な影響を与えている論文に与
えられるTest of time awardは4件表彰された.
発表される論文が扱う分野はジオメトリ・アニメーション・インタラクショ
ンなど, 多岐に渡るが, ここでは論文を2点紹介する.
Best Paperにも選ばれたDifferentiable Stripe Patterns for Inverse Des
ign of Structured Surfacesは, ファブリケーションの研究で, 微分可能シ
ミュレーションを活用し, 物体上の縞模様の形状を操作することで, その物
体の物理的な特性を変化させる手法を提案している.
Data-free Learning of Reduced-order Kinematicsという研究では, ニュー
ラルネットワークを用いて力学的エネルギーの低い状態を学習するという研
究で, エネルギーの比較的低い状態からなる空間を次元の低い潜在空間に落
とし込むことを行なっている.
筆者はPostersのセッションで, ねぶたにインスパイアを受けた, 内部に骨組
みを持つペーパークラフトのファブリケーションに関する研究の発表を行な
った. ポスター発表では研究者や, 学生や一般参加者など多くの人と交流し
, 研究に関して多くのフィードバックを得る機会となった. 参加者の立場と
しては, Technical Papersや, Talkなどをはじめとした様々なセッションに
参加することで, 普段は触れることのないような話題にも触れる機会となり
, 研究にも役立つ知見が得られたと感じている.
次回のSIGGRAPH 2024はアメリカ中部のデンバーで開催される.
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2. 学会からのお知らせ
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|◆ 主催・共催行事のご案内
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■ ICAT-EGVE2023
会期:2023年12月6日(水)~8日(金)
場所:Dublin, Ireland
https://icat-egve-2023.org/
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|◆ 協賛行事のご案内
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■ 東北大学電気通信研究所一般公開 2023
会期:2023年10月7日(土)
場所:東北大学
https://www.riec.tohoku.ac.jp/koukai/
■第66回自動制御連合講演会
会期:2023年10月7日(土)
場所:東北大学川内キャンパス
■ 第1回NDE4.0シンポジウム
会期:2023年10月30日(月)
場所:亀戸文化センター
http://www.jsndi.jp
■ 第25回日本感性工学会大会
会期:2023年11月20日(月)~11月22日(水)
場所:タワーホール船堀
https://www.jske.org/
■ CG-ARTS検定(後期)
会期:2023年11月26日(日)
場所:全国の高校・専門学校・大学
https://www.cgarts.or.jp/v1/kentei/
■ 第30回ディスプレイ国際ワークショップ
会期:2023年12月6日(水)~8日(金)
場所:朱鷺メッセ 新潟コンベンションセンター(新潟県)
https://www.idw.or.jp/
■ 第24回 SICE システムインテグレーション部門講演会
会期:2023年12月14日(木)~12月16日(土)
場所:朱鷺メッセ 新潟コンベンションセンター
https://sice-si.org/conf/si2023/
■ インタラクション2024
会期:2024年3月6日(水) ~ 3月8日(金)
場所:学術総合センター/一橋大学一橋講堂(東京)
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|◆ 賞に関するご案内
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■ 第7回羽倉賞
応募期間:2023年7月1日-10月1日
https://soatassoc.org/hagura#youkou
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|◆ 論文誌に関するご案内
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https://vrsj.org/transaction/special_issue/
■ 投稿募集中の特集 1「質感」
【募集要項】
 質感の理解は、人間が実世界を認識する情報処理や知覚のメカニズムを理解する上で重要
です。このような質感は物理的な特性と知覚の関係が複雑に絡み合う領域であり、心理学、
工学、脳科学などの異なる学問領域を統合した学際的なアプローチを促進してきました。
これにより、質感の物理的なモデリングや質感の再現技術、質感情報の統合など、より総
合的なアプローチが可能になっています。
 質感の理解は学術的な興味だけでなく、社会的にも必要とされています。例えば、質感は
製品デザインにおいて重要な要素であり、より魅力的で使いやすい製品を設計するための
指針を得ることができます。また、質感は、消費者の行動や選好にも影響を与えます。具
体的には、商品の包装の質感が高品質であれば、商品の価値が高いと認識され、消費者の
選択に影響を与えることがあります。そのため、質感の研究は商品デザインからマーケテ
ィング戦略まで、さまざまな分野で有益な技術として応用される可能性があります。
 仮想現実感(Virtual Reality; VR)、複合現実感(Mixed Reality; MR)、
拡張現実感(Augmented Reality; AR)においては、物理シミュレーションと質感表現
を組み合わせることで、現実のような質感の再現を実現する質感提示、機械学習アルゴリ
ズムを使用して、現実の物体や材料の質感を学習し、それを基にした仮想オブジェクトの
質感生成、さらには、触覚デバイスや触覚センサーを用いて、仮想オブジェクトの質感や
触感を再現する触覚フィードバックの研究や、視覚情報や聴覚情報、触覚情報などを同期
させた、マルチモーダルな質感の統合なども試みられています。
 本特集号では、「質感」と題し、質感の解明や再現、提示、応用について論じる研究を広
く募集します。皆様の積極的なご投稿をお待ちしています。なお、言語は日本語または英
語のいずれでも投稿可能です。
【ゲストエディタ】
天野 敏之(和歌山大学)
北原 格(筑波大学)
岩井 大輔(大阪大学)
渡辺 義浩(東京工業大学)
【締切】
◆申込締切:2023年11月13日(月)
◆論文締切:2023年11月20日(月)
◆掲載予定: 第29巻2号(2024年6月末発行)
【提出先】
◆論文投稿サイト:https://mc.manuscriptcentral.com/tvrsj
【お問い合わせ】
日本バーチャルリアリティ学会編集事務局(vrsj-edit[at]bunken.co.jp)
■ 投稿募集中の特集 2「メタバースとVR」
◆申込締切:2024年2月上旬
◆論文締切:2024年2月中旬
◆掲載予定: 第29巻3号(2024年9月末発行)
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3. 関連情報
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|◆ CALL FOR PAPER
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■ ICAT-EGVE 2023
Date: December 6 – 8, 2023
Place: Trinity College Dublin, Ireland
URL: https://icat-egve-2023.org/
Submission deadlines:
– Demos/Posters: TBC
■ IEEE VR 2024
Date: March 16 – 20, 2024
Place: Orlando, Florida USA
URL: https://ieeevr.org/2024/
Submission deadlines:
– Papers: September 27, 2023 (abstract due)
– Papers: October 4, 2023 (Submissions due)
– Posters: TBC
■ ACM CHI 2024
Date: May 11 – 16, 2024
Place: Hawai, USA
URL: https://chi2024.acm.org
Submission deadlines:
– Case Studies/Courses/Workshops: October 12, 2023
– Interactivity: January 17, 2024
– Late Breaking Work: January 25, 2024
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|◆ CALL FOR PARTICIPATION
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■ UbiComp/ISWC 2023
Date: October 8 – 12, 2023
Place: Cancún, Mexico
URL: https://www.ubicomp.org/ubicomp-iswc-2023/
■ CHI PLAY 2023
Date: October 10 – 13, 2023
Place: Stratford, Canada
URL: https://chiplay.acm.org/2023/
■ SUI 2023
Date: October 13 – 15, 2023
Place: Sydney, Australia
URL: https://sui.acm.org/2023/
■ CSCW 2023
Date: October 14 – 18, 2023
Place: Minneapolis, MN, USA
URL: https://cscw.acm.org/2023/
■ ISMAR 2023
Date: October 16 – 20, 2023
Place: Sydney, Australia
URL: https://ismar23.org/
■ UIST 2023
Date: October 29 – November 1, 2023
Place: San Francisco, California USA
URL: https://uist.acm.org/2023/
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|◆ ニューズレター編集委員会からのお知らせ
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ニューズレター編集委員会では,「会議・イベント参加報告」「会員便り」「新製
品情報」を,広く会員の皆様から募集しております.
お問合せ・寄稿先:
日本バーチャルリアリティ学会事務局
office[at]vrsj.org
※ [at]を@に変換下さい.
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[ニューズレター編集委員会]
<委員長> 半田拓也
<編集長> 藤本雄一郎・田辺健
<委 員> 片岡佑太・濱田健夫・藤田和之・ソンヨンア・磯山直也・平尾悠太朗
・田井中渓志・脇坂崇平・亀岡嵩幸・手嶋仁志・堀江新・青山一真
<顧 問> 柳田康幸・武田博直
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発行者: 半田拓也
編 集: ニューズレター編集委員会(編集担当:亀岡嵩幸)
発行日: 2023年9月25日
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