VRSJ Newsletter – 2023年7月号 – ( Vol. 28, No. 7 )
日本バーチャルリアリティ学会 会員各位
Newsletter 2023年7月号をお届けいたします.
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日本バーチャルリアリティ学会
Newsletter – 2023年7月号 – ( Vol. 28, No. 7 )
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https://vrsj.org/
< 内容目次 >
1. 報告集
◆ CHI 2023
川口 碧(慶應義塾大学)
◆ Robomech 2023
小嶋 麻由佳(東京大学)
2. 学会からのお知らせ
◆ 主催・共催行事のご案内
◆ 協賛行事のご案内
◆ 論文誌に関するご案内
3. 関連情報
◆ CALL FOR PAPER
◆ CALL FOR PARTICIPATION
◆ ニューズレター編集委員会からのお知らせ
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1. 報告集
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◆ CHI 2023
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川口 碧(慶應義塾大学)
CHI2023は4月23日から28日にかけてドイツのハンブルグにあるコンファレ
ンスセンターにて開催された. CHIはHuman Computer Interaction(HCI)分野
における国際的なトップカンファレンスの1つであり, 通称“カイ”と呼ばれている.
新型コロナウイルスの影響により2020年の開催は見送られ, 2021年には完全オ
ンライン開催, 2022年にはハイブリッドでの開催が行われていた. 今回は感染状況
が落ち着き, 渡航等の規制が緩和された背景などから, 79カ国から4670名が参加
のうち8割が物理参加しており, ハイブリット開催ではあるものの会議開催の様子
もコロナ前に戻りつつあるように感じた.
カンファレンスペーパーとしては3182件の投稿があり, うち879件が採択され,
採択率は28%であった. またTOCHIなどのジャーナルに採択された論文や, ケー
ススタディ論文の発表などもあり, 同時に最大20以上のセッションが同時開催さ
れた. 初日および最終日にはワークショップが中心に開催された. CHIは年々投稿
数が増えている傾向にあるが, 今年はこれまでで最大の投稿数であり, コロナ禍で
一時は減少傾向となった投稿数が戻りつつある. 約6900平方メートルにおよぶホ
ールではレセプション開催と同時にInteractivity(デモ展示)として企業や研究
室が多数出展したほか, ポスターセッションなども開催された. 総じて大規模で圧
倒されたが, 教育機関だけでなく民間企業の研究所も数多く発表を行っており, 世
界的に重要な研究成果発表の場として認知されていることや, ネットワーキングの
場として機能しているのが印象的であった.
Awardsも多く授与しており, Best Papersが35件, Honorable Mentionsが
93件, Best Case Studyが1件, Case Study Honorable Mentions2件が選ばれ
た. オープニングの基調講演にはドイツ出身のフリーランス科学技術ジャーナリス
トであるEva Wolfangel氏が登壇し, サイバー犯罪とサイバーセキュリティにお
ける人の要素を考慮したデザインの必要性について紹介した. またクロージングの
基調講演にはアフリカ出身のソフトウェア エンジニア兼起業家であるPeter
Karuki氏が登壇し, 彼が専門とする人間行動学に基づき, 効果的な行動を起因させ
るようなシステムデザインについて紹介した. 実際に彼が手がけた, ルワンダおよ
びコンゴ共和国にて自身が手がけた配車サービスについて紹介し, テクノロジーを
有効に活用するためには国によって異なる文化や習慣を踏まえたシステムデザイン
が必要であると述べた. オープニングおよびクロージングの基調講演の内容につい
てはYouTubeでも紹介されているため, 興味のある人はチェックしていただきた
い.
なお次回(CHI2024)開催場所はハワイ, 次々回(CHI2025)開催場所は日本
となっている. 学生の場合は, 博士学生コンソーシアムや学生を対象としたデザイ
ン, ゲーム, 研究などのコンペなどが開催されるほか, Student Volunteer(SV)も
募集しているので興味があるかたは検討頂きたい.
公式サイト:https://chi2023.acm.org/
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◆ ロボティクス・メカトロニクス講演会2023
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小嶋 麻由佳(東京大学)
2023年6月28日から7月1日までの4日間,第35回目となるロボティクス・メ
カトロニクス講演会(ROBOMECH2023)が開催された.新型コロナウィルス感染症
拡大防止のため,2020・2021年はオンライン,2022年はハイブリッド形式での開催
であったが,今年度は5類感染症への移行に伴い,愛知県名古屋市の名古屋国際
会議場において完全対面形式で実施された.また6月29日には,2019年以来久し
ぶりにヒルトン名古屋で懇親会も開かれた.
講演会では,「VR・ARとインタフェース」や「触覚と力覚」などを含む73件のオー
ガナイズドセッションで,計1,471件の発表が行われた.この発表件数は過去最大
規模であり,2,000名を超える参加者が集まった.デモを用意した発表者が多く,直
接触った方が分かりやすい「感覚と計測」セッションのブースは,特に混雑していた.
筆者は「把持型グリップによる圧力刺激の方向弁別閾の測定」という題目で発表し,
圧力刺激を用いた疑似力覚提示に関するデモ展示も行った.デモを体験した人から
は多くの好評をいただき,今後の研究へのモチベーションにもなった.
どの発表も興味深かったが,その中で特に印象に残った発表は,名古屋工業大学
の山根らによる「温冷環境と力覚を双方向伝送するテレ・ハプティクス・ロボットアー
ム・システムの開発 ―力覚ウェアラブル装置における温冷感覚の再現性・応答性
の改善―」である.本研究では,遠隔ロボットアームの指先で触った物の温度感をウ
ェアラブルデバイスから指先に提示する.特に興味深かったのは,ペルチェ素子にヒ
ーターを組み合わせることで温度応答性を高めている点である.デモでは,凍った液
体入りのアルミ缶に触れる感覚を体験できた.遠隔ロボットアームがアルミ缶に触れ
ると同時に,指先が冷たくなって,驚いた.将来的には全身に拡張して,サウナにい
る感覚を提示できるようにしたいとのことであった.今後の発展が楽しみである.
6月29日には特別講演として,第113回日本学士院賞・恩賜賞を受賞された株
式会社デンソーウェーブの原昌宏氏による「世の中を変えたQRコードの開発の原
点と成長」という講演が行われた.現在,QRコードは見ない日はないほど身近な存
在となっており,情報の管理や掲示・決済など,世界中で幅広く使われている.囲碁
において碁盤の目に沿っていなくても,碁が欠けていても,局面を認識できることか
ら着想を得たそうで,興味深く聞いた.また,破損・汚れ訂正が50%まで可能なコー
ドもあることを知って,大変驚いた.
次回のROBOMECH2024は,2024年5月29日から6月1日にかけて,栃木県
宇都宮市で開催予定である.
公式サイト:https://robomech.org/2023/
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2. 学会からのお知らせ
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|◆ 主催・共催行事のご案内
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■ 第28回日本バーチャルリアリティ学会大会
会期:2023年9月12日(火)〜14日(木)
場所:東京たま未来メッセ
https://conference.vrsj.org/ac2023/
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|◆ 協賛行事のご案内
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■ 第148回ロボット工学セミナー
会期:2023年8月28日(月)
場所:オンライン
https://www.rsj.or.jp/event/seminar/news/2023/s148.html
■ 教育システム情報学会第48回全国大会
会期:2023年8月29日(火) ~31日(木)
場所:ハイブリッド開催(近畿大学 東大阪キャンパス / オンライン)
https://taikai2023.jsise.org/
■ Entertainment Computing 2023(EC2023)
会期:2023年 8月30日(水) ~9月2日(土)
場所:東京工科大学八王子キャンパス
https://ec2023.entcomp.org/
■ 第33回 日本神経回路学会全国大会(JNNS2023)
会期:2023年9月4日(月)~6日(水)
場所:東京大学 本郷キャンパス
https://am2023.jnns.org/
■ ヒューマンインタフェースシンポジウム2023
会期:2023年9月6日(水)~8日(金)
場所:青山学院大学 相模原キャンパス
https://jp.his.gr.jp/symposium/symposium2023/
■ 第41回 日本ロボット学会学術講演会
会期:2023年9月11日(月)~14日(金)
場所:仙台国際センター
https://ac.rsj-web.org/2023/
■ 東北大学電気通信研究所一般公開 2023
会期:2023年10月7日(土)
場所:東北大学
https://www.riec.tohoku.ac.jp/koukai/
■ 第1回NDE4.0シンポジウム
会期:2023年10月30日(月)
場所:亀戸文化センター
http://www.jsndi.jp
■ 第25回日本感性工学会大会
会期:2023年11月20日(月)~11月22日(水)
場所:タワーホール船堀
https://www.jske.org/
■ CG-ARTS検定(後期)
会期:2023年11月26日(日)
場所:全国の高校・専門学校・大学
https://www.cgarts.or.jp/v1/kentei/
■ 第30回ディスプレイ国際ワークショップ
会期:2023年12月6日(水)~8日(金)
場所:朱鷺メッセ 新潟コンベンションセンター(新潟県)
https://www.idw.or.jp/
■ 第24回 SICE システムインテグレーション部門講演会
会期:2023年12月14日(木)~12月16日(土)
場所:朱鷺メッセ 新潟コンベンションセンター
https://sice-si.org/conf/si2023/
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|◆ 賞に関するご案内
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■ 第7回羽倉賞
応募期間:2023年7月1日-10月1日
https://soatassoc.org/hagura#youkou
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|◆ 論文誌に関するご案内
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https://vrsj.org/transaction/special_issue/
■ 投稿募集中の特集 2「VR心理学9」
【募集要項】
バーチャルリアリティと心理学は密接な関係にあります.頭部搭載型ディスプレ
イやアバターなどバーチャルリアリティ技術を用いた心理学研究,多感覚統合や身
体所有感錯覚など心理学の知見を適用したバーチャルリアリティの研究などが盛ん
に行われています.また,バーチャルリアリティにおいて,その効果を最大化する
ためにも人の心理を明らかにしたり,計測・評価したりすることが期待されていま
す.そのような背景を踏まえ,特にVRと心理学の関係に焦点を当てるVR心理学特集
は9回目を迎えました.
本特集号では,VRと心理学の融合領域に関連する論文を基礎から応用まで広く募
集します.基礎論文,応用論文,コンテンツ論文はもとより,VR研究者に有益な情
報となる総説論文の投稿も歓迎します.皆様の積極的な投稿をお待ちしております.
The field of virtual reality and psychology presents a complex and
multifaceted area of study. Psychological research utilizing virtual
reality technologies, such as head-mounted displays and avatars, as
well as investigations into the application of psychological
principles, such as multisensory integration and illusory body
ownership, are currently being actively pursued. Furthermore, it is
expected that human sensation, perception, attitude, and action will be
clarified, measured, and evaluated in order to optimize and maximize
the effects of virtual reality. In light of these developments, the
ninth special issue of VR Psychology is being planned, with a focus on
the general relationship between virtual reality and psychology.
In this special issue, we welcome a diverse array of articles
pertaining to the combined fields of virtual reality and psychology,
spanning from basic to applied research. We encourage submissions of
not only basic, applied, and content-related papers, but also review
papers that offer valuable insights for virtual reality researchers.
We eagerly anticipate your active contributions to this endeavor.
【ゲストエディタ】
小川将樹(三重大学)
蒲池みゆき(工学院大学)
北崎充晃(豊橋技術科学大学)
繁桝博昭(高知工科大学)
Hsin-Ni Ho(九州大学)
【締切】
◆申込締切:2023年8月1日(火)
◆論文締切:2023年8月8日(火)
◆掲載予定: 第29巻1号(2024年3月末発行)
【提出先】
◆論文投稿サイト:https://mc.manuscriptcentral.com/tvrsj
【お問い合わせ】
日本バーチャルリアリティ学会編集事務局(vrsj-edit[at]bunken.co.jp)
■ 今後の特集予定 1「質感(仮)」
◆申込締切:2023年11月上旬
◆論文締切:2023年11月中旬
◆掲載予定: 第29巻2号(2024年6月末発行)
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3. 関連情報
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|◆ CALL FOR PAPER
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■ ACM SUI 2023
Date: October 13 – 15, 2023
Place: Sydney, Australia
URL: https://sui.acm.org/2023/
Submission deadlines:
– Poster/Demo: August 20, 2023
■ ACM ISS 2023
Date: November 5 – 8 2023
Place: Pittsburgh, PA, USA.
URL: https://iss2023.acm.org/
Submission deadlines:
– Demos/Posters: August 15, 2023
– Papers: July 1, 2023
■ ICAT-EGVE 2023
Date: December 6 – 8, 2023
Place: Trinity College Dublin, Ireland
URL: https://icat-egve-2023.org/
Submission deadlines:
– Papers: August 18, 2023
– Demos/Posters: TBC
■ ACM TEI 2024
Date: February 11 – 14, 2024
Place: Cork, Ireland
URL: https://tei.acm.org/2024/
Submission deadlines:
– Paper/Pictorial abstract: July 25, 2023
– Paper/Pictorial full submission: August 1, 2023
– Work in Progress/Art and Performance: October 23, 2023
– Graduate Student Consortium: October 23, 2023
■ IEEE VR 2024
Date: March 16 – 24, 2023
Place: Orlando, Florida USA
URL: https://ieeevr.org/2024/
Submission deadlines:
– Papers: September 27, 2023 (abstract due)
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|◆ CALL FOR PARTICIPATION
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■ UbiComp/ISWC 2023
Date: October 8 – 12, 2023
Place: Cancún, Mexico
URL: https://www.ubicomp.org/ubicomp-iswc-2023/
■ ISMAR 2023
Date: October 16 – 20, 2023
Place: Sydney, Australia
URL: https://ismar2023.org/
■ UIST 2023
Date: October 29 – November 1, 2023
Place: San Francisco, California USA
URL: https://uist.acm.org/2023/
■ CHI PLAY 2022
Date: October 10 – 13, 2023
Place: Stratford, Canada
URL: https://chiplay.acm.org/2023/
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|◆ ニューズレター編集委員会からのお知らせ
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ニューズレター編集委員会では,「会議・イベント参加報告」「会員便り」「新製
品情報」を,広く会員の皆様から募集しております.
お問合せ・寄稿先:
日本バーチャルリアリティ学会事務局
office[at]vrsj.org
※ [at]を@に変換下さい.
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[ニューズレター編集委員会]
<委員長> 半田拓也
<編集長> 藤本雄一郎・田辺健
<委 員> 片岡佑太・濱田健夫・藤田和之・ソンヨンア・磯山直也・平尾悠太朗
・田井中渓志・脇坂崇平・亀岡嵩幸・手嶋仁志・堀江新・青山一真
<顧 問> 柳田康幸・武田博直
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発行者: 半田拓也
編 集: ニューズレター編集委員会(編集担当:青山一真)
発行日: 2023年7月25日
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