HCII2018 参加報告
+———————————————————————-+
◆ HCII2018
+———————————————————————-+
水口 直哉(東京大学)
Human-Computer Interaction International (HCII) 2018は,今年で第20回目の開催
となる.7月15日〜20日にかけて,アメリカのラスベガスのCeasars Palace Hotel
にて開催された.15日~17日がチュートリアル,18日~20日が本会議であり,本会
議においてはパラレルセッションやポスターセッションなどが行われた.参加者数
は約1700名で,出身国数は74カ国であった.4373本の投稿のうち,Paperが
1170本,Posterが195本が採録された.
本会議は,Human-Computer Interaction,Human Interface,VR/AR/MRなど14分野
について18前後のパラレルセッションで行われた.Best paperは発表分野ごとに1
本ずつ,計14本が選出された.例えば,筆者が発表を行ったHuman Interface and
the Management of Informationのエリアからは,”An Exploration of Crowdwork,
Machine Learning and Experts for Extracting Information from Data”という論文が採択さ
れた.この論文では,クラウドソーシングにおけるデータの収集と活用のために,
初心者・専門家・機械学習による方法それぞれについて,正答率とコストのトレー
ドオフについて検証した.位置情報の決定のタスクにおいては専門家によってデー
タを対応付ける方法が優れているという結果だったが,それぞれの手法についてメ
リットとパフォーマンスについての考察が大変興味深かった.
また筆者らは,「Basic Study on creating VR exhibition content archived under
adverse conditions」と題して「VR2.0 and Digital Museum」のセッションで口頭発表
を行った.博物館の展示のために,撮影された全天周画像を補正や合成を行うこと
で,実際の見えに近い実写VRコンテンツの作成する手法を提案した.筆者にとっ
て初めての英語発表であり,発表・質疑には苦労したが,貴重な経験となった.
他に筆者が興味深いと感じた発表として,”Evaluating Effects of Hand Pointing by
an Image-based Avatar of a Navigation System”を挙げる.この研究では,ルートナビ
ゲーションシステムをアバターで行う際の効果的な方法について検証しており,人
が指差して示す場合の方が口頭で伝えるだけの場合よりも好ましいという結果であ
ると示していた.
ポスターセッションでも数多くの発表がされており,各地で議論が行われていた.
筆者も何度かセッションに足を運び,発表を聞くことができた.”A study on
Organization Simulator as a Means to Prevent Workplace Depression”という発表では,
メッセージセオリーに基づき,人間同士の心理的な距離をシミュレーションするも
のであった.ポスター発表の際に,実際にシミュレーションの様子を見せていただ
くことができ,理解を深めることができた.
筆者は本学会には初めて参加したが,今まで参加したどの学会よりも多様な分野
に関する発表が行われ,自分の専門分野以外の様々な分野の発表を聞くことができ,
非常に有益であった.
次回のHCII2019は,同じくアメリカのオーランドで7月26日〜31日に開催され
る予定である.
http://2018.hci.international/