SUI2017 参加報告
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|◆ SUI2017
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石川 優(筑波大学)
10月16日(月)から 17日(火)にかけて,3次元ユーザインタフェースに関す
る国際学会SUI(ACM Symposium on Spatial User Interaction)2017 がイギリス,ブ
ライトンの Jurys Inn Brighton Waterfront にて開催された.12 か国からおよそ50
名の参加者が集まった.著者は本会議にフルペーパーの筆頭著者として発表を行い,
併催された国際会議ISS(ACM Conference on Interactive Surfaces and Spaces)2017
(10月17(火)日から20日(金))でもHighlights of SUI のセッションにて発表
を行ったため,そちらも含めて報告したい.
SUIは今年で5回目の開催であり,ISSに比べると規模的に控えめな印象を受け
るが,VRや3次元UIを中心としたインタラクション手法の提案やそれらの評価に
関する非常に興味深い議論が行われている.今年は46件の投稿があり,その中か
ら16件の口頭発表が行われた.さらに,オープニングにてFrank Steinicke氏から
空間をより自然な形で拡張するSuper-Natural Interfacesの概念や実例について,
クロージングにてAlex Schwartz氏からHTC ViveのJob Simulatorの事例に触れな
がら6自由度VRに関する様々な知見についてのKeynoteが行われた.
Best Paperに選ばれたのは,Katzakisらの”Stylo and handifact: modulating haptic
perception through visualizations for posture training in augmented reality”であっ
た.この研究は,前腕に取り付けられたハプティックデバイスと,シースルータイ
プのHMDにより表示されるバーチャルハンドを組み合わせたシステムが,ダンス
やリハビリ,武道など姿勢が重要な活動のための姿勢訓練に与える影響を心理物理
実験により評価した研究である.特に,指示姿勢に現在の姿勢を一致させるタスク
において,ハプティックデバイス(Stylo)の有無とバーチャルハンド(HandiStylo)
の有無を組み合わせた4群間の一致までの所要時間を比較した結果,組み合わせた
手法の所要時間が他の3群よりも有意に所要時間が短くなった点は非常に興味深い.
著者は”Evaluation of Finger Position Estimation with a Small Ranging Sensor
Array”の発表を行った.これは,手の甲上にて指の位置を空間的に推定して入力と
して利用することによりスマートウォッチ操作時に発生するオクルージョンの解消
を試みたシステムの評価を行った研究である.SUI終了後はJoint SUI & ISS Poster
& Demo Receptionの時間が設けられており,SUIのみの参加者もISSのデモ及び
ポスターに触れることができるようになっていた.ISSでの口頭発表後にはISSの
参加者からもコメントをもらうことができ,貴重な機会を頂けたことに感謝したい.
SUIとISSを通じてKeynoteや口頭発表はもちろん,たくさんの参加者との議論で
き,デモやポスターにも触れられ,大変刺激的な1週間であった.
来年のSUIはドイツのベルリン,ISSは東京で開催される.来年もぜひ参加した
い.
https://iss2017.acm.org/