ITS2013 参加報告
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|◆ ITS2013 参加報告
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山中亮汰(立命館大学)
10月6日から9日までスコットランド,St. Andrewsにおいて,ACMが主催するITS
(Interactive Tabletops and Surfaces) が開催された.ITSはテーブルトップや
サーフェスインタラクションを扱った研究に関する著名な国際会議の一つであり,
今年で8回目の開催となる.今年は同じくACMが開催するUIST (User Interface
Software and Technology)と並んで開催された.初日はワークショップ,2日目に
はキーノートが行われた.キーノートでは光学式のマルチタッチ認識手法FTIR
(frustrated total internal reflection)の開発者であるJeff Han氏が登場し,
マルチタッチやペンを使った多くのインタラクション手法についての講演であっ
た.2,3日目には各セッションの発表が行われ,最終日はBest PaperとBest Note
の発表,およびITSの閉会を兼ねてUISTのキーノートという合同の企画がなされ
た.今年のITSのみの参加者は約200人となり,UISTとの合算では500人を超える参
加者が集まったようである.
口頭発表は全部で35件であり,内Full paperは27件,Tech Noteは8件,採択率
は合わせて29%であった.Best Paperは,3Dのタッチディスプレイを機械的に前後
に動かすことで描画モデルに関するフォースフィードバックを知覚させる
“TouchMover: actuated 3D touchscreen with haptic feedback” (M. Sinclair
et al., Microsoft Research) が選ばれた.この研究は,デモ展示もあり,多く
の参加者がディスプレイの動きに驚かされていた.Best Noteには,手書きの質感
を残しつつ,デジタルで記入を行うことが出来るデバイスを作成した,”Penbook:
bringing pen+paper interaction to a tablet device to facilitate paper-
based workflows in the hospital domain”(C. Winkler et al., Ulm Univ.) が
選ばれた.
その他には,近距離通信を行うNFCタグによってテーブルトップディスプレイと
モバイル端末間でデータのやりとりを行う“Peripheral Array of Tangible NFC
Tags: Positioning Portals for Embodied TransSurface Interaction” (S. Fei
et al., Texas A&M Univ.) や,ユーザの位置に合わせてテーブルトップディスプ
レイの画面がスクロールされる“Body Panning – A Movement-based Navigation
Technique for Large Interactive Surfaces” (D. Klinkhammer et al., Univ.
of Konstanz) という研究も発表され著者の興味を引いた.
コーヒーブレイクの時間に行われたポスタ・デモ発表では,皆がコーヒーを片
手にリラックスした雰囲気の中,活発な議論が行われていた.デモ発表時には,
ITS2013のスポンサ企業によるデモ展示も行われた.その中でも.MULTI TACTION
社のInteractive Displayの周りには人だかりができていた.これは,画像処理ベ
ースのタッチディスプレイながら,32台ものカメラを用いることで,デバイスそ
のものの薄型化を図っている.
また,2日目の夜にはポスタ・デモ発表が行われたLower College Hallにてバン
ケットが行われた.研究に関する話題や互いの文化に関する話題で活気づき,4時
間近く話し続ける参加者もいた.
次回のITSは2014年11月9日から12日まで,ドイツ,Dresdenにて開催される.
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