Laval Virtual2013 参加報告
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|◆ Laval Virtual2013 参加報告
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西原由美(慶應義塾大学)
2013年3月20日から24日の5日間, Parisから南西に300km離れたLavalにて「
Laval Virtual」が開催された. 今年で15年目を迎えたLaval VirtualはVR, AR,
リアルタイム3D等の先端技術が展示されるヨーロッパで最大のイベントである. VR
分野において最も新機軸となる作品のデモンストレーション展示の「ReVolution」
そして国際会議の「Virtual Reality International Conference(VRIC)」も
行われた. 今年は企業と現地メディアに向けて公開された前半の3日間に4,500 人,
週末の一般公開に10,400人, 合計 14,900 人の来場者を記録した.
「Laval Virtual Awards」では国際的に活躍している専門家で構成された審査員
により作品が表彰される. 今年は日本からの作品が高く評価され, 10部門中6つの
部門に加え, グランプリを受賞した. 関西大学の”Layered Shadow”が建築・芸術
・文化賞, 東京大学の”Haptic Editor”が産業デザイン・シミュレーション賞,
筑波大学の”Rotational eye movement detector”が医療・健康賞, 神奈川工科
大学の“Manga Generator”がリアルタイムキャラクター・バーチャル世界賞, 電
気通信大学の“AquaTop Display”がインタフェース・マテリアル賞, 東京工科大
学の“The Light Shooter”が3Dゲーム・エンターテイメント賞, 電気通信大学の
”AquaTop Display”が大賞を獲得した.
Laval Virtual は日本バーチャルリアリティ学会が主催する「国際学生対抗バー
チャルリアリティコンテスト(IVRC)」と提携しており, 学生コンテスト「
Virtual Fantasy」の優秀作品がIVRCの決勝大会に招待されている.今年の IVRC
賞は ESCIN の”Mushroom”に決まった. 人の操作によって動的なアニメーション
を投影するプロジェクションマッピングの作品である. VRにおける現実からバーチ
ャルへの変換を芸術的・科学的観点から評価することを目的としている. 鑑賞者が
テンキ―を押すとキノコ柄のランプが回転する, 椅子から水が流れ落ちるなど、空
間と家具に合ったアニメーションが動き出し, 幻想的な世界観が魅力的であった.
2012年のIVRCからは慶應大学の”Perch on My Arm!”が招待され, ReVolutionで展
示を行った. 鳥が腕に留まることをバーチャルに体験できる作品である. 箱に腕を
通すと鳥の足が腕に乗っている触感や, 羽ばたいた時の風を感じることができ, 目
に見えない鳥とのインタラクションが可能である. 本作品は海外での展示が初めて
であり, 今までの日本の体験者とは違った大きなリアクションを見せる人が多く、
印象的であった. 特に週末はReVolutionにおけるブース間の通路が込み合い, 日本
の独特な作品が大きな反響を呼んだ.
Lavalにおける都市開発の計画は進み, VRの研究施設が2015年の9月までに完成さ
れる予定である. Laval Virtualの来年の開催の日程はまだ公式には決定されてい
ないが, 都市開発に伴った更なる盛り上がりが期待される.
公式サイト:http://www.laval-virtual.org/2013/
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