HOME » 学会参加報告 » NBiS2012 参加報告
2012年10月25日

NBiS2012 参加報告

+———————————————————————-+
|◆ NBiS2012 参加報告
+———————————————————————-+

石田 智行(岩手県滝沢村情報システム課)

 2012年9月26日~28日の3日間に渡り,オーストラリア・メルボルンのLa Trobe
UniversityでThe 15th International Conference on Network-Based Information
Systems (NBiS2012) が開催された.
 筆者は,毎年NBiSと同時開催される国際ワークショップであるInternational
Workshop on Network-based Virtual Reality and Tele-existence (INVITE2012)
にて発表を行った.INVITEは第1回開催から今年で8回目を迎え,本学会のテレイ
マージョン技術研究委員会のメンバーがProgram Committeeとして中心に運営して
いる.INVITEは,近年の超高速ネットワーク技術やグリッドコンピューティング技
術により,大規模3Dデータやビデオ映像などを用いた研究開発が世界中で盛んに行
われるようになってきたことに伴い,その最新技術や動向に関する研究成果を議論
するためにVRの基礎から応用までのVR全般を対象としたワークショップとして設け
られた.これまでにネットワークを使ったVR技術やVR入出力デバイスなどVRに関す
る様々な発表が行われてきた.
 今年のINVITEでは,6件の論文が採択され,活発な議論がなされた.うち3件がマ
ルチメディアアプリケーション関する論文,残りの3件がタイルドディスプレイに
関する論文であった.マルチメディアアプリケーションに関する論文では,大規模
ディスプレイ環境を想定したインプットシステムやデジタル3D浮世絵に関する内容
であった.また,タイルドディスプレイに関する論文では,大規模災害時を想定し
たGISシステムや高解像度ビデオストリーミングに関する内容であった.筆者も「A
Unified Large Scale Disaster Information Presentation System Using Ultra
GIS based Tiled Display Environment」というタイトルで大規模災害時における
災害対策本部での大規模タイルドディスプレイを利用したアプリケーションについ
て発表させて頂いた.
 中でも筆者が特に興味深かった発表は,慶應義塾大学大学院システムデザイン・
マネジメント研究科の小木哲朗教授が発表した「Digital 3D Ukiyoe Using the
Effect of Motion Parallax」である.
 このデジタル3D浮世絵の特徴は,完全な3次元モデルではなく,部分的な形状モ
デルとレイヤーモデルにより3次元映像を表現するところにある.鑑賞者の視点位
置を Kinect センサで計測し,視点位置に応じた映像をリアルタイムに描画するこ
とで,運動視差の効果を利用し,日本の伝統文化である浮世絵を見事に立体表現し
ていた.このデジタル3D浮世絵は,浮世絵という切り口から江戸文化の継承に新た
な一石を投じた研究成果ではないだろうか.
 最後に,朝晩は冷えるものの,滞在期間中は天気に恵まれ,大変快適に過ごすこ
とができた.また,Welcome Reception Partyや Banquet Partyでは,発表時間の
都合上聞くことの出来なかった研究内容についてさらなる知識を深め,世界各国の
研究者らと幅広い分野について交流を深めることができた.
 次回は,2013年9月4日~6日の3日間に渡り,韓国で開催される予定である.

URL: http://133.220.110.102/conf/nbis/2012/

Category: 学会参加報告

この記事へコメントすることはできません