ISS2017 参加報告
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|◆ ISS2017
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遠藤 勇貴(埼玉大学)
2017年10月17日から20日の4日間に渡り,イギリスの南海岸に位置するブラ
イトンにて,ACMが主催するISS (Interactive Surface and Spaces) 2017が開催さ
れた.ISSは以前ITSの名前で認知されていた学会の後継であり,2016年に発足
した会議であるため,今年で2回目の開催となる.本学会はサーフェスやスペース
におけるインタラクションを扱う研究分野に関して著名な国際会議の一つである.
今年はACMが同じく開催するSUI(Spatial User Interaction)と併設される形で挙行
された.初日はワークショップ,2日目からの3日間は本会議と構成されており,
その間2度開かれたパネルディスカッションでは会場から様々な意見が飛び交い,
活気ある議論が行われていた.
今年の口頭発表では,投稿数117件に対しAcademic Papers 29件とApplication
Papers 3件の計32件(採択率27%)の論文が採択された.また,18件のPosters
と23件のDemosが採択された.Best Paper AwardはDavid Verwijらによる
“FireFlies2: Interactive Tangible Pixels to enable Distributed Cognition in
Classroom Technologies”が受賞した.これは,初等教育の学習環境において,教師
の生徒に対する分散認知をサポートする研究である.また,Best Application Paper
AwardではAndreas Rene Fenderらによる“MeetAlive: Room-Scale Omni-
Directional Display System for Multi-User Content and Control Sharing”が選出さ
れた.これは,複数のデプスカメラとプロジェクタを組み合わせることで,各々の
ノートPCからコンテンツを同時に表示し,共有する,グループ会議をサポートす
るシステムである.
PostersやDemosは全日程で発表が行われた.昼食の際も時間が設けられ,立食
形式で行われた議論は活発に交わされた.その中でも,Best Demonstration
Audience Awardを受賞したChi Thanh Viらによる“TastyFloats: A Contactless Food
Delivery System”は一際注目を集めた.音波浮上を利用してユーザの舌に食べ物を
届けるこのシステムでは,ユーザが異なる味覚刺激を知覚し,効果的に区別するこ
とを可能とする.
開催地であるブライトンは,美味しいシーフードを味わえる,イギリス有数の海
浜リゾート地である.中でもバンケットとしても提供されたFish & Chips は鮮度
も良くボリュームもあったため,満足のいく一品であった.次回のISSは東京で開
催される.日本での開催は,ITSとして開かれた2011年の神戸以来となる.期間は
2018年11月25日から28日まで.
https://iss2017.acm.org/