UIST 2016 参加報告
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|◆ UIST 2016 参加報告
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鈴木 克洋(慶應義塾大学)
2016年10月16日から19日にかけて,日本・東京の一橋講堂にてUIST(User
Interface Software and Technology)2016が開催された.UISTはUser Interface
におけるトップカンファレンスの一つであり,本年度は384件の論文のうち79件
が採択された(採択率20.5%).論文数は年々増加傾向にあり,今年の投稿数は過去
最大であった.
会期の1日目はRegistrationとWelcome Receptionのみが行われ,論文発表は
なかった.2日目はメインの論文発表と共に自身が参加するデモ発表が行われた.
HMDの内側に取り付けた反射型光センサの値から装着者の表情変化を推定すると
いう研究について,デモセッションで発表を行った.訪れる人は技術に詳しい人が
多く,説明に関しては話す内容が次第に固まってきたため,受け答えは予想よりも
スムーズに行えた.興味を引いたデモとしては「Wolverine: A Wearable Haptic
Interface for Grasping in VR」やHonorable Mention Awardを受賞した「Normal
Touch and Texture Touch: High-fidelity 3D Haptic Shape Rendering on Handheld
Virtual Reality Controllers」などが挙げられる.これらの研究はVR空間内での触
覚提示に関する研究である.HMDによるVR体験は主に視覚情報によって臨場感
を演出しており,触覚刺激の再現を高いレベルで行うことは興味深いテーマである.
これらの研究が進むことで視覚だけでなく触覚でも実空間と同様の体験が出来るよ
うになればとても面白いと感じた.
論文発表の会場はAuditoriumとBallroomの2つに分かれており,パラレルに
発表が行われた.セッションはTouchやGestureなどUIとの関連性の高いものか
らCrowdsなどの集団でのインタラクションやクラウドソーシングに関する研究な
ど多岐に渡っていた.
4日目に開催された~RealityのセッションはAR/VRに関する研究が多くとても
興味深かった.特に,「Holoportation: Virtual 3D Teleportation in Real-time」と
いうリアルタイムに人体の3D情報を認識し,Microsoft HoloRensによってAR表
示する研究は,スターウォーズのように世界各地の人とホログラムを介して会議な
どを行うことがそう遠くない未来に実現できるのではないかと感じる内容であった.
日本人の発表としては,「Optical Marionette: Graphical Manipulation of Human’
s Walking Direction」というVideo See-Through HMDを装着し,画像処理ベース
で歩行誘導を行う研究が,発表中に壇上でデモを行うことで会場を盛り上げていた.
なお,来年度のUIST 2017は10月22日から10月25日の間にカナダ・ケベック
シティーにて開催される予定である.
https://uist.acm.org/uist2016/