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2016年6月27日

VRクリエイティブアワード2016 参加報告

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|◆ VRクリエイティブアワード2016 参加報告
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小川 奈美(東京大学)
 社団法人VRコンソーシアムが主催する「VRクリエイティブアワード 2016」のデ
モ・最終審査イベントが2016年6月4日にデジタルハリウッド大学で行われた.
 VRクリエイティブアワードは,これからのVR業界を牽引するVR作品やクリエイタ
ーを発掘し,認知度向上や活動の支援を目的として,VR領域のクロス・コラボレー
ションの創出をめざすアワードイベントである.第2回となる今年のテーマには昨
年度のAnother Dimension(新しい次元を拓く)からVRの有効利用をさらに一歩進
めることを意図してBuild Dimensions(次元を創る)が選ばれた.「現実空間とヒ
トの認知に対してVR技術を使ってどこまで深く踏み込めるか,さらにそれをどのよ
うに社会に実装していくのか,その新しい可能性に挑戦してほしい」という代表理
事・ハコスコ代表取締役の藤井直敬氏の呼びかけにより104件の応募があった.事
前の1次審査・2次審査を経て中から選出された11件のファイナリスト作品が当日審
査員向けデモと一般デモ,さらにプレゼンテーションを行い,会場はファイナリス
ト作品のデモを体験する人々で一日中大賑わいであった.また,会場の様子は
cluster.とyoutubeによるライブストリーミングも行われた.
 10名の審査員による審査の結果,最優秀賞にはEnhance Games + Rhizomatiks
Architecture + Keio Media Designによる「Rez Infinite – Synesthesia Suit」
が選ばれた.VRビデオゲーム作品「Rez Infinite」の共感覚的なコンセプトを体現
するスーツで,スーツ内に装着されている26の振動素子によって,弦楽器で弾かれ
ている感覚や,太鼓で叩かれている感覚などが再現され,その質感に合わせて,
LEDの色や光のパターンがシンクロする作品である.筆者は「Metamorphosis Hand
(えくす手)」という,自分の指が伸びた感覚を擬似的に作り出す作品を展示し,
著名な審査員の方々に自分の作品を体験していただき,直接フィードバックがいた
だけるという好機となった.
 審査全体を振り返り,藤井氏からは「現在のVRコンテンツは,企画力,実装力,
マーケティング力,オペレーション力などの総合力が必要とされる段階になり,そ
れには個人,団体を問わずチームを組む必要があるみたいです.」というコメント
があり,VRの一般への広がりに伴い,より総合的に質の高いコンテンツが求められ
る時代になりつつあることを実感した.
http://vrc.or.jp/award2016/

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