VRST 2015 参加報告
+———————————————————————-+
|◆ VRST 2015 参加報告
+———————————————————————-+
成田 岳(東京大学)
2015年11月13日から15日の3日間にわたり,中国は北京の北京航空航天大学にて
The ACM Symposium on Virtual Reality Software and Technology (VRST) 2015が
開催された.今年の発表は,投稿数105件に対し29件(うちフルペーパ18本,ショ
ートペーパ11本)の論文が採択された.また,15件のポスター発表があった.発表
分野は,AR/VR,CG,ユーザインタフェース,コンピュータビジョンなど,バーチ
ャルリアリティに関する様々な分野の研究が発表された.中でも,HMDを用いた研
究が多かったのが印象的であった.日本からは東京大学石川渡辺研の筆者らと,SO
NY CSL/東京大学暦本研究室の笠原氏らの計2本の論文が採択された.
会議の参加者は50~60人程度とアットホームな雰囲気であり,会議中はもちろん
ランチタイム等の会議以外の時間にも,積極的に情報交換や議論が行われていた.
Keynoteは2件あり,UCLのAnthony James Steed氏と,Microsoft Research Asiaの
Xin Tong氏が講演を行った.Steed氏はFrom Presence to Telepresenceというタイ
トルで,HMDを介したインタラクションにおいて,特にユーザ同士の実在感を高め
る方法と,それが没入感に与える影響について議論した. また,Tong氏はHigh fi
delity 3D acquisition for everyoneというタイトルで,ローコストかつ簡単なセ
ットアップで,周辺環境やオブジェクトの反射特性,顔や髪のダイナミックな3次
元の動きを高品質に取得する技術について議論した.
ベストペーパには2件が選出された.1件目はアイオワ大学のRahimianらによる
“Optimal Camera Placement for Motion Capture Systems in the Presence of
Dynamic Occlusion”が選出された.これは,遮蔽の生じやすいモーションキャプ
チャシステムにおいて,カメラの配置を確率的に最適化して計測の精度の向上を図
るという研究であった.2件目は,SONY CSL/東京大学暦本研の笠原氏らによる“Ja
ckIn Head: Immersive Visual Telepresence System with Omnidirectional Weara
ble Camera for Remote Collaboration”が選出された.これは,ウェアラブルな
全周囲カメラを身に付けた人物に対して,別の人物が全周囲カメラの映像をHMDで
見ながらリアルタイムに指示を与えて,両者が協調して作業を行うという内容で,
大変に興味深かった.
次回のVRST 2016は,2016年11月2日から4日の3日間にわたって,ドイツのミュン
ヘンで開催される予定である.
( http://www.vrst2016.lrz.de/ )
[…] +———————————————————————-+|◆ VRST 2015 参加報告+———————————————————————-+成田 岳(東京大学)【詳細はこちら】 […]