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2011年8月25日

◆ SIGGRAPH 2011 参加報告

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|◆ SIGGRAPH 2011 -Technical Papers- 参加報告
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佐藤 未知(電気通信大学)

  世界最大のコンピュータグラフィックスのフェスティバル,SIGGRAPH 2011 が今
年も全世界から様々な研究者や企業,技術者を募り, Vancouver Convention
Centreにて8/7 から8/11 まで開催された.これまでSIGGRAPHはアメリカを開催地
としてきたが,本年はカナダ・バンクーバーにおいて初のアメリカ国外開催となる.
SIGGRAPHはCGの学会といえど,カメラからGPUといった映像に関わるハードウェア
に関する研究発表も行われ,それらもまた最高峰であることで知られる.そして数
多くの発表形式をもったSIGGRAPHであるが,中でもCG分野の先鋭として知名度と査
読通過難度で突出するのがTechnical Papersのプログラムである.このプログラム
は約30分の口頭発表形式で,本年は28のセッションにそれぞれ3-5の発表があてら
れ,1-3のパラレルセッションとして行われた.筆者が特に興味深かった発表は以
下である.
・ShadowDraw: Real-Time User Guidance for Freehand Drawing. フリーハンドス
ケッチ支援ツール.レファレンスとして大量にスケッチ画像を持っており,手描き
で絵を描いている間にリアルタイムで複数の類似画像が描画領域に重畳される.
「お手本」が常に自分の絵に重畳されるので非常にスムーズなフリーハンドスケッ
チが可能である.
・Motion Capture From Body-Mounted Cameras. 身体にカメラを取り付けてのモー
ションキャプチャシステム.うまく処理することでモーションキャプチャと同時に
周囲環境の3Dモデルが取得できるほか,副産物として長時間の移動データも取れる.
発表者であるDisney Research Pittsburghの白鳥氏は,Technical Paper事前お披
露目であるFast Forwardにおいて実際のキャプチャカメラを全身に装着して何とも
形容し難いダンスを披露し,会場の笑いを誘った.このように,発表を印象深くす
るために様々な趣向を凝らすのがFast Forwardの特徴である.
・A Versatile HDR Video Production System. コンシューマビデオカメラのHDR化.
近年有名なiPhone4の静止画HDR撮影技術は露出の異なる3写真を高速撮影し合成する
という物であったが,動画で同様のことをするのは難しい.ここではレンズから入
射する光を3方向に分光してそれぞれ露出の異なる撮像素子で記録し,合成した.
以上述べた他にも様々な興味深い発表が見られた.なお,Technical Papersの発表
はすべてACM Transactions on Graphicsに掲載される.また幾つかは既に掲載され
ている.
関連サイト:http://www.siggraph.org/s2011/

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|◆ SIGGRAPH 2011 -Emerging Technologies- 参加報告
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髙橋宣裕(電気通信大学)

  SIGGRAPH2011は2011年8月7日から8月11日の5日間に亘りカナダ・バンクーバー
のVancouver Convention Centreに於いて開催された.SIGGRAPHはコンピュータ
グラフィクスとインタラクティブ技術に関する世界最大の国際学会であり,例年ア
メリカで開催されるのが常であるが今年は初めてのカナダでの開催となった.カナ
ダは世界屈指の3DCGソフトの会社を多く抱え,同分野のアメリカの複数の有力企
業がカナダに進出している流れがあるようで,そこから覗えるコンピュータグラフ
ィクスに対する活発な土地柄が初の開催を実現させた理由の一つだと考えられる.
不慣れな地での開催であったためかEmerging Technologies会場の準備に大幅な遅
延が生じ展示者は半日ほど会場外での待機を余儀なくされる事態に見舞われたが,
開催までには無事に全ての展示作品が出揃った.
  今年のEmerging Technologiesの展示発表は23件であり,そのうち日本からの展
示発表は13件と全体の半数以上を占め,例年通り強い存在感を示した.全ての展示
は同一エリアにて行われ,ナビゲーション,3次元ディスプレイや形状可変型ディ
スプレイ,インプットデバイス,ハプティックデバイス,エンタテインメントシス
テムの展示が所狭しと犇めき合った.センシング技術において今後の応用の可能性
が期待される展示が多く,顔面の微細な色変化をカメラで読み取って心拍数を計測
する”A Medical Mirror for Non-contact Health Monitoring”,クッションに加
わった圧力分布をクッション内部のフォトリフレクタを組み込んだモジュールから
計測する”FuwaFuwa”,腕時計型デバイスを装着することで手の甲をタッチ入力イ
ンタフェースへと変えてしまう”Touch Interface on Back of The Hand”には大
きな衝撃を受けた.また歩行誘導を目的として会場入口の床面に設置された”
Vection Field of Pedestrian Traffic Control”,その姿形が一際目を引く遠隔
コミュニケーションロボット”Telenoid”,記念撮影などのアトラクション的要素
を取り入れ巧みな展示手法をとっていた妊婦体験システム”Mammy Tummy”は来場
者の大きな関心を集めていた.今年は形状可変型ディスプレイの展示が多く見られ
た印象があったが,中でも凸状オブジェクトがディスプレイ上を移動する”
Molebot”は動作が可愛らしく,強く印象に残っている.
  筆者は今年のSIGGRAPHが初参加であったが,毎年参加しなければならない貴重
な学会であることを身に染みて実感することが出来た.余談だが,”The Cyclone
Display”を展示した落合陽一と,筆者と同じく”InteractiveTop”のContributor
として参加した山川隼平と向かった2日目深夜のChapters Partyは圧巻であった.
ハリウッド映画にあるような暗闇にイルミネーションが飛び交う中で箱詰めのよう
に押し寄せダンスに興じる人々の群衆に混じる体験は欧米ならではである.無論,
世界中の第一線の研究者と面会して議論が出来る機会を得られるのも本学会の大き
な魅力である.
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