第17回VR心理学研究会 参加報告
+----------------------------------------------------------------------+ |◆ 第17回VR心理学研究会 参加報告 +----------------------------------------------------------------------+ 北崎 充晃(豊橋技術科学大学) バーチャルリアリティと心理学の融合領域の研究成果発表と討論の場として,VR 心理学研究会と拡張認知インタフェース研究会,電子情報通信学会ヒューマン情報 処理研究会の共催研究会が2011年7月23-24日に富山国際会議場で開催された.富山 国際会議場は,富山駅から徒歩15分,セントラム(路面電車)で7分の位置にあり, 富山城址公園の向かいにあり,非常に便利であると同時にまだ新しくすばらしい会 場であった. 研究会では,脳機械インタフェース,奥行き知覚,魅力度評定など多岐にわたる テーマが発表され,いずれも興味深い報告であった.池井寧先生(首都大学東京・ 教授)と富田浩史先生(東北大学・准教授)が特別招待講演をなされた.池井先生 は,「空間情報を利用する記憶支援」と題して,VRやARを利用した場所法による 記憶支援システムの開発と研究成果を御講演された.非常に明確な記憶成績の向上 が見られ,工学的な外部記憶装置や検索装置の提案ではなく,ヒトの認知を拡張す る研究の将来性を強く感じた.富田先生は,「遺伝子治療による視覚再建 ~ 緑藻 類由来遺伝子の利用 ~」と題して,視細胞欠損による視覚障害を網膜神経節細胞 に光受容性を発現させることで治療する研究について御講演された.従来型の(と いっても先端研究領域であるが)人工網膜や人工視覚に比べて,非常に簡単な手法 で,高い視覚能力が得られる可能性があり,遺伝子治療分野の将来性の高さに感嘆 した.身体・脳そのものをエンジニアリングする方向性のVRの可能性を感じた. 参加者は,初日が47名,二日目が36名の計83名であり,盛会であった.今回,初 めてポスター発表が導入され,また各自3分のショートプレゼンテーションを事前 に行った.ポスター発表も非常に盛り上がり,所定の時間を30分延長して終了した. VR心理学研究会は,年に2回開催される.今回は17回目であり,次回は,11/5-6 に高知工科大学,その次は2/4-5に沖縄県那覇市で開催予定である.
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