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2015年9月25日

第15回VR医学会学術大会 参加報告

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|◆ 第15回VR医学会学術大会 参加報告
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丸山裕(京都大学)
 2015年9月12日に京都大学楽友会館にて第15回日本VR医学会学術大会が開催された.
 大会では,「教育・トレーニング」「モデリング」「手術計画・手術支援」「画像処理・計測」の4つのセッションからなる15件の一般演題の発表と,京都大学の清水公治先生による「次世代医療実現に向けた医療機器開発への期待と課題」,奈良先端科学技術大学院大学の冊等嘉伸先生による「多元計算解剖学に基づく腹部臓器と筋骨格の画像解析:形態から機能と疾患のモデルへ」と題した2件の特別講演が行われた.
 「教育・トレーニング」のセッションでは臨床技能の教育・訓練におけるVRシミュレーションの現状の報告や,採血などに用いられる注射シミュレータや模擬穿刺針を用いた穿刺訓練システム,キャリブレーションを自動で行う聴診訓練システム,受動的・能動的な力覚提示を行うVR腹腔鏡手術システムなど様々な場面での教育・トレーニングシステムの提案報告がなされた.「モデリング」のセッションでは,肝臓などの非剛体の物体に対して三次元画像を基にした切離プロセスのモデリングや応力集中による破壊を表現する電気メスの切開モデル,脈管を覆う漿膜および結合組織のモデル化といった,臓器などの非剛体の物体や多様性のある脈管などの難しいモデリングについて報告がなされた.「手術計画・手術支援」のセッションでは,距離センサを用いた肝臓の位置姿勢探索や血行動態を考慮した4DCGを用いた脳神経外科手術シミュレーション,脳幹部腫瘍摘出術の術中アプローチ支援用可視化ソフトウェア,下顎骨再建術計画システムといった,実時間での支援や,より明確に手術計画が行えるシステム等の報告がなされた.「画像処理・計測」のセッションでは連結リスト法を用いた3次元画像やOCTを用いた蝸牛の断層構造,また腹腔鏡鉗子の力覚測定機器といった,3次元画像の構築方法や,力覚測定について報告がなされた.
 特別講演では,清水先生からはMRIやPET,近赤外線を用いたこれまでの医療機器開発の事例の紹介に始まり,それらの課題について述べられた.多様な医療機器開発には臨床現場における産学連携の取り組みが必要であり,機器の性能評価においても臨床研究が不可欠であるといった講演がなされた.佐藤先生からは医用画像撮影装置の高制度化・多様化によって画像データの精度の良さを述べた後に,そのデータの活用方法について述べられた.MRIなど複数の機器で撮影された医用画像の情報から機能や疾患を含む多元化されたデータの構築に関して講演がなされた.
 企業展示では様々な企業から,光学式モーションキャプチャや力覚フィードバック装置などのデバイスのみならず,腹腔鏡下手術シミュレータや3D手術支援画像システム,フィジカルアセスメントドールなどの展示があった.実際にデバイスやシステムに触れることができ,展示員からも説明を受けることができ非常に興味深い企業展示であった.
 今回の大会では幅広い分野での演題があったように思われる.今後はさらに多様化された演題が増え,より活発な大会になるだろう.また英語のプレゼンに対して英語でディスカッションを行うグローバルな面も見られた.
http://www.jsmvr.umin.ne.jp/conference/

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