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2014年10月27日

UIST 2014 参加報告

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|◆ UIST 2014 参加報告
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門内靖明(東京大学)

 ACM UIST 2014は10月5日から8日までハワイ・ホノルルのWaikiki Beach
Marriott Resort & Spaにて開催された.今年で27回目を迎えるUISTはユーザインタ
フェース分野における著名な学会のひとつであり,論文採択率は例年20%程度であ
る.本年度の論文投稿数は333 件あり,74件が採択された(採択率22%).例年シン
グルトラックのセッション方式が特徴の本学会ということであるが,投稿数の増加
に伴い本年度は初めてデュアルトラック方式が採用された.また,プロジェクタの
画面も720pのワイドスクリーンに統一された.会議全体の参加者は456名で,国別の
参加者数は多い順に米国249名,日本56名,韓国26名であった.なお,個人的な印象
ではあるが,アメリカからの参加者の中にもアジア系の研究者が多いように思われ
た.デモやポスターセッションも会議の中核的な部分を占め,大勢の参加者が熱の
こもったディスカッションを交わしていた.本年度は開催地がハワイということも
あり,Beach Sessionなる特別なセッションも設けられ,砂浜で城を作ってその出来
栄えを競うAnalog Fabrication Contestというイベントが開催された.
 学会の全体的な印象としては,人間・コンピュータ間の即自的なインタラクショ
ン性を追求するインタフェース技術のみならず,実世界での生産・創作活動を支援
するための研究が多いことが印象に残った.例えば,3Dプリントに機械部品や発光
部品などを組み込むために機能性チューブ構造を統合するアプローチを示したA
Series of Tubesや,大きく手作りした電子回路を熱収縮によって縮小する
ShrinkeyCircuits,さらにはカーペットのように実世界に存在する物体にCGを描く
GraffitiFurなどが注目を集めていた.なお,Graffiti Furを発表した Sugiuraは,
動画や実演などを巧みに織り交ぜた発表によって会場を沸かせBest Talk Awardを受
賞した.また,過去のUISTのプログラムと比べると,論文タイトルにNovice(初心
者)という単語を含む発表が3件もあったことが印象的であった.成熟したテクノ
ロジを用いてNoviceが短期間でExpertのように活動できるよう支援する流れは,今
後のテクノロジのひとつの方向性を示しているように感じられた.
 筆者はこれまで専ら電磁波や計測に関する学会に参加してきており,HCI系の学会
への参加は国内外を問わず今回が初めてであった.そのため,背景に流れる思想か
ら発表のスタイル,さらには会議進行方法まで大小問わず様々なカルチャーの違い
を体感して貴重な他流試合を経験することができた.この経験をきちんと消化して
今後の研究活動に活かしていきたい.最後に,筆者らが発表した空中映像触覚イン
タラクションシステムHaptoMimeがBest Demo Awardを受賞させて頂いたことを御報
告申し上げるとともに,この場を借りて共同研究者諸氏ならびにアスカネット株式
会社の皆様に厚く御礼申し上げます.
(次回は2015年11月1日~4日にアメリカ・シャーロットで開催予定)
http://www.acm.org/uist/uist2014/

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