HOME » 学会参加報告 » SIGGRAPH2014 Emerging Technologies 参加報告
2014年8月25日

SIGGRAPH2014 Emerging Technologies 参加報告

+———————————————————————-+
|◆ SIGGRAPH2014 Emerging Technologies
+———————————————————————-+
井上 碩(東京大学)

 第41回目となるコンピュータグラフィックスとインタラクティブ技術の国際会議
SIGGRAPH2014が,2014年8月10日から5日間に渡りカナダ・バンクーバーのVancouver
Convention Centreで開催された.Technical Papersが主にコンピュータグラフィ
クスにおける先端研究の発表の場であるのに対して,Emerging Technologiesは最
新のインタラクティブ技術の体験の場である.Emerging Technologiesは,Art
Gallery,Studioと同じ会場に併設され,一段階安価なSelect Conference Passで
入場できることもあり,研究機関関係者のみならず企業関係者から観光客まで多く
の人々が訪れ,実際に各展示を体験していた.
 今年は合わせて26件の展示発表が行われた.そのうち日本人のContributorを含
むものは10件であり,昨年にくらべ大幅に増加した.
 展示の中では特に,可動する台と羽に乗りHMDを装着することで,空を翔ぶ鳥の
体験ができるBirdly(チューリッヒ芸術大学)が,長蛇の列ができる盛況ぶりだった.
これはSIGGRAPH2014 AR/VR Contestの優秀賞およびLaval Virtual Awardの両方に
輝いている.筆者も1時間待ちをして体験したが, 空を飛ぶという未知の経験であ
るのに自然な飛び方だと感じてしまう,直感的な操作性と没入感は圧倒的なものが
あった.以前,別のデモ展示とし,Haptic Turkという人力による飛行体勢感覚の
提示を体験したことがあるが,羽の角度を変えながらはばたくという入力のある
Birdlyの体験はその時以上のものだった.
 また,Technical Papers発表技術のデモとして,A Compressive Light-Field
Projection System(MIT), Cascaded Displays(NVIDIA), Pinlight Displays(UNC),
Pixie Dust(東京大学)の4展示は会場入口右手に集中して展示され多くの注目を集
めていた.
 今回のEmerging Technologiesでは,来場者の描いた絵をカーペットへ描く
Graffiti Fur(慶應大学),空中超音波を用いた立体触覚像のHORN(東京大学),浮遊
微粒子へ映像投影をするPixie Dust(東京大学)と超音波フェーズドアレイを用いる
デモが多かった.この影響で,超音波センサを用い手の上でインタラクションでき
る小型ドローンAbove Your Hand(東京大学)が不具合を起こしたものの,代わりに
人通りの多い会場エントランスでの特別展示が許されるという嬉しいハプニングが
あったようだ.
 来年のSIGGRAPHはアメリカ・ロサンゼルスで8月9日から開催される.

【SIGGRAPH2014 ホーム】http://s2014.siggraph.org

Category: 学会参加報告

この記事へコメントすることはできません