第24回人工現実感研究会 参加報告
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|◆ 第24回人工現実感研究会
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細井俊輝(東北大学)
2014年7月1日から7月2日までの2日間,東京大学の山上会館にてヒューマンイン
タフェース学会 SIG-VR(バーチャル・リアリティー・インタラクション専門研究
委員会)研究会が開催された.これは,日本バーチャルリアリティ学会,映像情報
メディア学会 ヒューマンインフォメーション研究会,電子情報通信学会 マルチメ
ディア・仮想環境基礎研究会(MVE)との共催であった.
本会議ではシングルセッションの講演が2日間に渡って行われた.参加者はおよ
そ80人であった.一般講演には,ロング発表とショート発表があり,それぞれ,18
件,6件行われた.このうち,MVEでの発表の中には,萌芽セッションも設けられ,
学会デビュー又は研究の駆け出し段階の発表もあった.
以下,二日間での聴講において,印象に残った発表を取り上げる.東大の山崎俊
彦氏らによる “大規模画像のメタ情報処理と類似画像検索を用いた逆引き旅行推
薦” では,ジオタグ等の情報が付加された画像データを旅行推薦に用いることを提
案している.通常の旅行推薦でされる「どこに行けば何が見られるのか」という情
報の提供ではなく,「こんなものを見る・撮るためにはどこに行けば良いのか」を
示す旅行推薦システムへの応用可能性について議論するものであった.また,名古
屋大の吉川一輝氏らによる “EYERESH使用時の視機能への影響” では,眼精疲労緩
和・遠見視力回復のための3DコンテンツEYERESHが使用者に与える影響を調べた結
果が報告された.EYERESHプログラムの使用後に視力の回復効果が見られた被験者
が多数おり,画面を長時間見続ける生活での有用性が期待される.この発表は人工
現実感に深く関連するものであったが,他にも分野が多岐に渡る研究発表が行わ
れ,バリエーション豊かな研究発表会であった.
筆者は,本研究会に参加したのは初めてで,さらに筆者にとって初めての一般公
演発表の機会であった. “加速度センサを用いた積み木によるストレス軽減効果に
関する一検討” という題目で発表した.これは,従来の遊戯療法における積み木遊
び分析手法との比較や,加速度以外の計測を用いた新たな解析手法などについての
議論であり,発表後には,聴衆の方から,5件程質問やコメントを頂くことがで
き,また休憩時間にも参加された研究者と議論を継続することができた.どれも今
後の研究(修士論文)に資するものばかりであり,大変活発で有意義な研究発表の
場と感じた.
次回の詳細な日程等は未定であるが,今後ヒューマンインタフェース学会のWeb
ページで発表される予定である.
【HISホーム】https://www.his.gr.jp/index.html
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